2014年07月の記事一覧
◎2014年07月30日 ---- ボス ◎
- 最悪の日
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先週の土曜日、7月26日はここ数年で最も悪い一日として死ぬまで忘れないことだろう。◆「昭和伊南総合病院」のヘリポート落成式に出席するために私は前日の夜から長野県は駒ケ根市に入っていた。落成式は無事に終わった。「感謝状」まで頂いた。・・・ここまでは良かった。落成式が終わりクルマで東京を目指した。愛車BMWグランクーペを私が運転し、助手席には「昭和伊南総合病院ヘリポート」の設計担当で頑張ったMさん(当社の女性職員)が座っていた。調子に乗って私は少し飛ばしていた。「追い抜くクルマを注意して見ていてよ。パトカーを追い抜いたら教えてね」とMさんに言った。Mさんは明るく答えた。「さっき追い抜いたクルマ、ちょっと気になるんですけど・・。青い色が見えたんです。」◆「青い色?」・・Mさんが何を言おうとしているのか理解できぬまま走っていたらすぐ後ろでパトライトが回りだした。「やっぱりあの青い色はおまわりさんだったんだ。ごめんなさい」とMさんが詫び出した。「いえいえ、お詫びするのは僕の方ですよ」私はMさんに謝り、パトカーの室内に入っていった。青い制服を着たおまわりさんに丁寧に注意された。20年近く続いた私のゴールド免許も終わることになった。◆この事件は最悪の日の序章でしかなかった。その後に大きな大きな、人にお話しすることができない不幸が私を襲ってきた。7月26日の夜、私はカラダはクタクタに疲れているのに殆ど眠ることができなかった。浅い眠りに落ちてもすぐに悪い事件を思い出して目が覚める。この日に重なった3つの悪い事件。その中で最も痛みの小さいものが34㎞/hの速度超過で2万5千円の罰金と減点3点であった。◆幸せはゆっくり近づいてくる。幸せの中にいても人はなかなかそれに気づかない。一方、不幸は突然やってくる。突然不幸になって人はそれまでがいかに幸せだったのかに気付く。◆いろんなことを教えてくれた最悪の7月26日・土曜日だった。◆幸い、私は、すでに立ち直り始めている。
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◎2014年07月30日 ---- ボス ◎
- 「大丈夫?」という言葉の怖さ
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30歳で前田建設工業を辞めた。中途半端な生活が続いた。毎日が不安だった。40歳でエアロファシリティーを立ち上げた。不安はさらに増した。とても不安だが従業員の前や家族の前で不安な顔をすることはできない。カラ元気だけで頑張ってきた。◆不安を忘れようとカラ元気で明るく振る舞っている頃、とても残酷だったのが友人らの「大丈夫なの?」という言葉。彼らには悪気がないのは分かる。悪気はないのだがこちらにはグサリと来た。カラ元気で「大丈夫だよ。」と答える他はなかった。◆自分の友人が大きな会社を辞めたけど大丈夫なのか、生活できるのか。今度は自分で会社を立ち上げたようだが大丈夫なのか、家族を路頭に迷わすことにならないのか。・・・彼らはそれを心配してくれたのだろう。だが「大丈夫か?」と言われる側にすればとても残酷な響き。「大丈夫だよ」と答える以外になんと返せばいい?カラ元気のみで凌いでいる身、「大丈夫か?」と聞かれれば「大丈夫さ」と答える以外になかった。◆あれから数十年経った。まだまだ私のカラ元気は続いている。不安は少し小さくなった。友人たちは「大丈夫か?」とは聞いてこなくなった。私は何もしてあげられない相手に対して決して「大丈夫か?」などとは聞かないで生きてきた。
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◎2014年07月29日 ---- ボス ◎
- もてるオジサマ
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Fさんはとても女性にモテる。私の回りで、同世代の男の中ではダントツに女性にモテる。Fさんの回りにはいつも女性がいる。◆同世代の男性と比較すれば、Fさんは自由になるお金と時間が多い方だ。でもそれだけで女性が寄ってくるわけがない。Fさんはキムタクにも郷ひろみにもガクト(GACKT)にも似ていない。キレイな顔と言えなくはないが、外見は至って普通のオジサン。お腹も私と同程度には出ている。スリムではない。ビシッと高級スーツを着こなすわけでもない。いつもよれよれ(に見える)服を着ている。なのに女性が回りにいる。女性からしょっちゅう携帯電話がかかってくる。LINEが送られてくる。なぜだろう。◆先日、Fさんと一緒にゴルフに行った。Fさんが自宅まで迎えに来てくれてゴルフの後は自宅まで送ってくれた。帰りの車は大渋滞にかかった。東関東自動車道の幕張料金所が近づいたときにFさんが聞いてきた。「こっちに行くっていうのはキノシタさんの美学に反しますか?反するなら止めますが・」と料金所手前、渋滞横のパーキングエリアを指差した。パーキングエリア内を抜けようというのだ。渋滞の前の方にワープしようというのだ。ズル込み?◆「僕が運転していたらできませんがFさんがこちらを通るのを止せとは言いませんよ」と答えた。Fさんはニコっとしてパーキングエリアに入って行き、エリア内に止まることなく前方口から出て行った。そして渋滞の前の方にスルっと入った。助手席のこちらは気持ちがいい。◆自分は「道徳」などと言って正直に渋滞の後ろに並ぶ。でも助手席に乗ったときに運転者がちょっとズル込みをすることに快感を感じる私がいた。そしてFさんがズル込みしたことを知る者は回りには私以外にはいない。回りのだれもFさんのズルに気付いていない。誰も不快にせず自分と助手席者をちょっと楽しくさせる。こういうちょっとした「不道徳」が女性にモテる秘訣なのだろうな、とその時に思った。◆「ちょっとした不道徳」も自分では冒すことのできない私は相変わらずモテないオジサンのままである。
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◎2014年07月28日 ---- ボス ◎
- 機械的・機能的 プラスα
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土曜日(7月26日)長野県駒ケ根市の昭和伊南総合病院のヘリポート落成式に参列してきた。長野県南地域の救急医療の拠点として、これから多くの命を救う助けになってくれることだろう。自分たちが知恵を絞り、汗水流して作り上げたものが人様の命を救うことに貢献する、それだけで十分にやりがいのある仕事。おまけに皆様から「ありがとうございました」と言われ今回も表彰状までいただいた。もったいない、ありがたい。◆機能的で安全なヘリポートを廉価で作り上げた自負はある。落成式に参列された地元の方々からは「素敵なヘリポートをありがとう」と言われ「キレイですね」「かっこいいですね」とできたばかりのヘリポートを褒められた。素直に嬉しい。だが我々はそこで満足しているわけにはいかない。さらに魅力的なヘリポートを作るために現状に満足しないことだ。・・・ではこのヘリポート、なにが足りない?◆私は思う。「優しさが足りない」「遊び心が足りない」「面白さが足りない」◆無駄を極力そぎ落とし、廉価で安全で機能的なヘリポートを作る。素晴らしいこと。だがヘリポートは病院の正面玄関前に立つ。工場の脇に立つものと同じでは寂しい。機能的・機械的というだけでなくプラスαが欲しい。◆たとえばこの細くて長い脚(柱)をエンタシスのような大根足にしてみたらどうだろう。暖かく人間味のある楽しいヘリポートができるだろう。銀色の機械的な脚を木目調にしたらどうだろう。穏やかで優しくなる。◆もうほんの少しコストを上乗せしてもらえればもっともっと魅力的なヘリポートができるのだが、残念ながらムダを一切認めない現在の日本の官庁工事ではそれを許してもらえない。日本の官庁にとって「遊び心」は「優しさの表現法の一つ」ではなく単なる「ムダ」という意識が染みついてしまっている。◆私の葛藤は続く。昭和伊南総合病院ヘリポート、それでも85点は上げたい。
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◎2014年07月23日 ---- ボス ◎
- 「私」「俺」「僕」
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学生時代は自分のことを「オレ」と呼んでいた。恐らく先生方の前でも「オレは・・・」と話していたのだと思う。大学を卒業しゼネコンに就職してからも「オレ」であった。上司に対しても「オレは・・・」と話していた。誰もそれを注意してくれなかった。◆30歳で会社を辞めた。新しい仕事を始めた。「オレ」の回りにいるのは商社の人、政界の人、証券会社の人、画廊のオーナー、投資会社の人たちに変わった。ふと気づくと自分のことを「オレ」と呼んでいるのは「私」一人だけだった。誰に注意されたわけでもなかったが、その事実に気付いた時にとても自分のことを恥ずかしく思ったことを覚えている。それ以来、少なくとも年長者の前では「オレ」と言わないように心掛けている。◆60歳近くになって回りを見ると、自分のことを「オレ」と呼んでいる男たちはみな出世していない。「我が道を行く」というプラス面よりも「観察眼がない」「礼儀知らず」というマイナス面の方がはるかに強い。私の知る限り、知的そうな感じなのに自分のことを「オレ」と呼び続けているのは俳優の中村雅俊、ただ一人。◆酒の席で友人たちと「僕・オレ」論になった。「僕」はこの「我が道を行く」中村雅俊という俳優が嫌い。「私」がそういうと、「オレ」も全く同じ考え、中村雅俊の「オレ」は気に食わないと一人が返した。すると「オレも嫌い」「オレも中村雅俊の『オレ』が嫌い」と多くの「オレ」が答えた。◆楽しい仲間たちとの酒の席での会話は「オレ」が一番気楽でいい。
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◎2014年07月22日 ---- ボス ◎
- 残念! 「登龍」の四川風冷やし中華、変わる
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新橋から銀座にかけて「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」という店が数店舗ある。どこも毎日、開店前から長蛇の列ができている。どの店も一流シェフが腕を振るいリーズナブルな価格であると聞く。ただしどこも椅子はなく立食形式。一人当たりの店内滞在時間は短くなり回転が速い。薄利多売の世界。「美味い料理を安く提供」するとは素晴らしい。人気になるのは当たり前。最近は「俺の焼き肉」や「俺の出汁」「俺の割烹」という店もできた。若いころなら私もきっと列に並んだことだろう。だがもう若くはない。◆「安くて美味い」は大切なこと。だが「安くて美味い」というだけで30分も行列に並ぶことは今の私にはできない。ところが私も美味しいものを食べにわざわざ足を運ぶことはある。「美味い」というだけではわざわざ遠くまで足を運ぶことはない。重要なのは「そこへいかなければ食べられない」ということ。他店ではまねできないオリジナリティーがあるということ。◆市ヶ谷「らいむらいと」のハンバーグ、半蔵門「プティフアラカンパーニュ」のチキンカレーは20年間以上連日行列ができている。私は年に数回、この行列に並ぶ。実に美味い。それらの味はそこに行かなくては決して食べられるものではないのだ。◆麻布十番の「登龍」の四川風冷やし中華もそんな料理の一つであった。25年間以上私は愛し続けた。これまで何人のお客様をお連れしたかしれない。誰を連れて行っても「こんなに美味しい冷やし中華を初めて食べた」と喜んでくれた。ところが最近、この四川風冷やし中華の味が大きく変わった。これまでより辛くなりニンニク風味が強くなった。そして水分が減った。それはそれでまあまあ美味いのだが25年間に渡って愛し続けた味が一日で変わってしまったことが残念でならない。個性が強くなった分だけ「私にはちょっと・・・」という客が増えるだろう。◆「登龍」の四川風冷やし中華の味が大きく変わったことが残念でならない。・・・・三連休をそんな不満を感じながら過ごした。残念なことではあるが、この程度のことを痛く残念に思っているのだから、私はとても平和で幸せな生活を送っているのだろう。
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◎2014年07月14日 ---- ボス ◎
- 分室 ほぼ完成
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新橋プラザビル15階のオフィスが手狭になってきた。分室を開くことに決め、探していたらオープンまぢかのマッカーサー通り(新虎通り)に面した美しい部屋に出会った。本社から徒歩1分、東洋海事ビル最上階(8階)。すぐに申込んだ。ところがその分室に入る連中が忙し過ぎてなかなか引っ越しができなかった。◆当初は6月上旬に分室オープンの予定であった。ところがこの分室に入ることになっている約20人、彼らのほとんど全員が出張続きであった。「まあ急ぐこともないよ。少しずつ荷物を運びこめばいいよ。」私は寛容であった。遊び心を持った、デザインに凝った分室にしたかった。分室は徐々に荷物が増えていった。机が入り、ロッカーが入り、パーテーション工事が行われ、冷蔵庫が入り、素敵な置物が並び、ワインセラーが入り、スツールが並び、そしてマッカーサー通りを眺めるコーナーにはバーカウンターまでができた。◆イタリアに発注しているパーテーションの到着は10月になるがそれ以外のものはすべて入った。やっと「引っ越し完了」となった。出張から帰ってきた連中が社内のバーで談笑しながらワインを飲んでくれる日も近い。
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◎2014年07月10日 ---- ボス ◎
- サッカー ワールドカップ
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普段は特にサッカー好きでもないのにこの時期だけは深夜まで或いは早朝からのテレビの中継にくぎ付けになっている方が多い。実は私もそんな “にわかサッカーファン” の一人。今朝も普段なら電車に乗っている時間なのに準決勝「アルゼンチン VS オランダ」戦をPK決着まで観ていた。アルゼンチンがPK戦を制し、決勝は「ドイツ VS アルゼンチン」となった。決勝が「欧州 VS 南米」となったことを喜んでいる。決勝が「欧州 VS 欧州」、3位決定戦が「南米 VS 南米」では面白くない。それはさておいて、このワールド杯をテレビ観戦しながら少々不満に思っていることがある。不愉快に感じていることがある。◆「身体髪膚、これを父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。(孝経)」という孔子の教えがある。「この身体はすべて親から頂いた大切なものである。それを傷つけないようにすることが親孝行の始めなのだ。」という教え。世界中の紳士・淑女はこの教えを守っている。ところがワールド杯出場の多くの選手は・・・。◆ほとんどの選手が「タトゥー」と呼ばれる醜い刺青をしている。美的センスも教養のかけらも感じられない者ばかり。世界のサッカーは知的な紳士のスポーツから離れて行こうとしているようにさえ感じる。そういえば20年前と比べるとファウルの質も落ちた。相手のユニフォームを引っ張るのは当然の行為になってしまった。膝蹴りやカミツキまで現れるこのワールド杯、サッカー関係者はもう少し危機感を覚えて欲しい。◆1986年メキシコワールドカップの「アルゼンチン対イングランド」の試合で、ディエゴ・マラドーナが『伝説の5人抜き』ゴールをしたがあのときイングランドの選手はだれもマラドーナのユニフォームを引っ張らなかった。足元にスライディングもなかった。まさにルールに則ったスポーツであった。あのころのサッカーの方が面白い、と私は感じるのだがそのような紳士的なスポーツを世界中の大人はすでにもう求めていないようでもある。
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◎2014年07月07日 ---- ボス ◎
- 越智繁雄氏、関東地方整備局長
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2011年1月の終わり、宮崎県の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)が噴火した。2月7日に政府の支援チームが宮崎県入りし、大災害につながることないよう避難計画の策定などを連日、夜を徹して行った。この支援チームは一日の休みも取ることなく約1か月間、自然の驚異に立ち向かった。やっと避難計画をまとめ上げ、噴火が落ち着いたのは3月10日だった。翌3月11日、チームリーダーの越智繁雄氏はまず宮崎県庁を訪れ知事に活動報告をした。県知事から暖かい感謝とねぎらいの言葉をもらい、続いて隣県の鹿児島県知事のもとへ向かった。宮崎県庁から鹿児島県庁へ向かう車の中で越智リーダーの携帯電話が鳴った。「東北で大震災発生。至急、帰京して対応してください。」とのものであった。越智リーダーは鹿児島県知事への報告と挨拶をキャンセル、空路東京に戻った。当時越智氏の肩書は「内閣府政策統括官(防災担当)参事官(地震・火山・大規模水害対策担当)」であった。自然は越智氏を狙ったように続けざまに大災害を起こした。神は越智氏を試すように難問をぶつけ続けた。◆新燃岳噴火にしろ東日本大震災にしろ、越智氏がいなかったら住民の不自由はもっともっと大きかった。越智氏はまさに身を粉にして働いた。住民に少しでも早く落ち着いた生活を取り戻してもらうために。結局、彼は1年間近くまともな休みを取ることがなかった。息子の結婚式にほんの数時間参列したのが唯一のプライベートなひと時であった。◆実は私はこの越智氏(ここからは越智君)と九大の同級生である。こんな素晴らしい同級生がいることが誇りである。越智君は大学入学時から成績優秀であった。普通の優秀なタイプと違い、自分で勉強したことを一所懸命に同級生に教えてくれた。時効であるから許してもらうがカンニングにも「教える側・見せる側」として懸命に協力してくれた。出来の悪い私に対しても「キノシタ、一緒に卒業しようよ」と言いながら、私のアパートでマンツーマンの家庭教師をしてくれたことも何度かあった。とにかく自分のことよりも周りのこと、自分のためよりもみんなのため、という素晴らしい人間。これまで私は越智君のことを悪く言う人にあったことがない。◆つい先日、とても嬉しいニュースが飛び込んで来た。「正式発表がまだだから公にしちゃダメですよ。実は越智さんが関東地方整備局長になることが決まりました。」ということ。関東地整のトップ。超エリート。越智君をいじめにいじめた自然、意地悪くためした神がやっと越智君にほんの少しご褒美を上げたのか。◆周りの者は「すごい快挙」などと言うが、越智君の活躍をまじかに知る私としては当然のポストだと思う。周りの方々もきっと彼の知力はもとより人間的な素晴らしさを買ったのだろう。当の本人はこの栄転を「嬉しい」などと思っていないことだろう。「また一段と責任の重い役職になった。みんなのためにさらに一層頑張らなければ・・」と思っているはずだ。◆役人の鏡。同級生の誇り。我が良き友人、越智繁雄君、カラダに気を付けながらさらに頑張ってください。(正式な発表は明日のようだが、本日、複数の新聞が発表したので私も急いでこのコラムを書き上げた。)
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◎2014年07月04日 ---- ボス ◎
- 基礎の基礎!リスクヘッジ!
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「相談があります」と言って部下二人が私の部屋に入って来た。手にC社充ての「お見積書」を持っている。一億円を超える金額が書いてある。「見積書に社長印をください」と言う。「印をいただく前に仕事の内容を説明します」と話し出した。私は二人の話を黙って聞いた。要約は以下のようだ。◆彼らが先日知り合った日本人Pさんは現在スウェーデンに住んでいる。Pさんは、この9月に転職し、スウェーデンのA社に入社することになっている。わが社はシンガポールのB社に○○をオーダーをしたいのだが直接ルートがない。そこでB社と付き合いのあるA社を通じてオーダーしたい。つまりシンガポールのB社から○○を日本に入れるのにスウェーデンのA社に発注したい。○○は日本のC社に売れる。利益は500万円。◆「リスクはないの?」と聞く私に対し、部下たちは幾つかの専門的な小さなリスクを説明した後「大きなリスクはない」と言う。◆「で、カネの流れは? どういう手順でこのディールは進むの?」と私は続けて聞いた。「はい、まず当社がスウェーデンのA社に1億円を送金します。A社は1億円の入金を確認しましたらすぐにシンガポールのB社に・・・」◆そこまで聞いて私は大声を出した。「ちょっと待て!最初にウチがカネを送るのか?一億円も? 付き合ったこともないスウェーデンの会社に。知り合ったばかりのPさんという人が9月に入社するということだけで? アホか! よくそれで『大きなリスクはありません』などと言えるな! 十分に大きなリスクじゃないか! A社のパンフも会社説明もない。B社も全く知らない。そんなスキームに最初に当社が1億円を送金する? 馬鹿も休み休み言え!」 私は激怒した。彼らは何年、私の下で仕事をすれば「リスクヘッジ」ということを知るのだろう。情けなくなってきた。悲しくなってきた。心細くなってきた。
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◎2014年07月04日 ---- ボス ◎
- イタリア観光(3)
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「イタリアはどの店に入っても料理が美味い」という話を聞いていた。嘘。はっきり言って東京で食べるイタリア料理の方がはるかに美味い。「アッピア」や「アッカ」などの一流店でなくとも東京のイタリア料理店は味でもサービスでも本場を凌ぐ。チェーン店「サルバトーレ・クオモ」のピザはイタリアの高級店と同クラスだろう。「日本の店は日本人向けの味にしているから・・」と言う方もいるが恐らく違う。ローマの庶民が東京のイタリア料理店に入ったらその美味さにびっくりするだろう。(残念ながら東京以外の地方都市のイタリア料理店の味はイタリアにも負ける)◆料理の味も、店のサービスも、路上清掃の美しさも、歩く人々のマナーも日本の勝ち。では「現代のイタリアには学ぶべきものがないのか?」と探してみた。するとそれが見つかった。とても重要な学ぶべきところ。それは街路や建物の規制。◆ローマはヨーロッパを代表する大都市であるにも関わらず高層ビルがない。街で見かける大きな建物はすべて古代遺産や宗教関係のもの。都市部の住宅は恐らく外観の維持が法律で定められているのだろう。調和のとれた落ち着いた街並みは素晴らしい。◆四角い建物ばかりのくせに大きさや色調になんの規制もない東京にくらべローマ、フィレンツェ、ナポリ、ミラノは街ごとの特徴を持ち過去と現代の調和が進む。落ち着いた街並み、美しい景観はとてもかなわない。美的センスもないのに東京の建物の多くは自己主張をしたがり落ち着きがない。◆街路の開発、都市の外観の規制に関しては我が国は謙虚にイタリアに学ぶべきだと思った。
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◎2014年07月03日 ---- ボス ◎
- だらしない服装のサラリーマン
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昭和の終わりから平成10年頃までは、日本の働く女性の服装は世界で最も美しかった。センスがあった。オフィスではまだ制服(ユニフォーム)が主流だったが彼女らは通勤時の服装にカネをかけていた。外見を美しく見せようと努力していた。バブルが崩壊し、女性の地位が上がり、制服がなくなった。それに並行するように女性の通勤時の服装が貧相になってきた。外見などにかまっていられない、という状態になったのか。歴史上最悪センスの女性の服装「チュニック」なるものを恥ずかしげもなくオフィスに着ていく女性も多かった。勘違いした個人主義が幅をきかせ、電車の中で平気で化粧をする女性が増えた。「特定の人の前以外は醜い姿を見られても平気よ」と言っているようだ。◆アベノミクス効果なのか、ここ数年、日本の働く女性の服装は最悪期を脱したように見える。少なくとも「チュニック」を見かけることはなくなった。渋谷にもあの最悪センスの「ヤマンバ娘」がいなくなったという。変わって男性サラリーマンの服装がだらしなくなってきた。◆「クールビズ」はありがたい。ほとんどすべてのサラリーマンがクールビズを享受している。当たり前だが「クールビズ」と「だらしない服装」とは違う。最もだらしなく見えるのが長袖のワイシャツの袖を止めないもの。わが社では社員規則でワイシャツの袖を止めることを明文化している。長袖シャツの袖を止めないのなら半袖シャツを着ろ。だらしない!◆都市銀行や大手商社のいわゆるエリートサラリーマンは暑くても必ずワイシャツの袖を止めている。止めない場合は腕まくりをする。ところがゼネコンや公務員、中小のメーカー勤務の男たちは当然のようにワイシャツの袖ボタンをだらしなく止めずに歩く。朝の新橋駅は情けない、だらしない男たちであふれだした。◆「チュニック」と「ヤマンバ」が消えたと思ったら「だらしない男」が増えだした。
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◎2014年07月02日 ---- ボス ◎
- 創造性のないビルばかり
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近隣県へゴルフに行った帰り、高速道路から東京を眺め、我が東京は実にビルの多い大都市であることに改めて気付く。まだまだあちらこちらで大型ビルの建設工事が進んでいる。そしてそれらのビルがすべて縦直線と横直線線で描かれた陳腐な形状のビルであることを嘆いている。◆アメリカはもちろん中国でも韓国でも最近のビルはデザインに凝り、遊び心を持った斜線や曲線を用いたビルが多い。遊び心の中にもそのビル独特の意思や主張が見える。イタリアは教会や大聖堂で昔から尖った屋根や丸屋根が多かったがそれらと調和する街並みに遊び心を持ったビルが建ち始めている。◆一方、我が日本は「不要不急のものは作りません」などと馬鹿な総理大臣が口にしてから公園の噴水が止まり花壇の花が枯れている。六本木ヒルズ森タワーを最後に遊び心を負持ったデザイン性の高いビルの建設が途絶えた。先日オープンした虎の門ヒルズはせいぜい頑張ったつもりだろうが六本木ヒルズに比べれば情けないほど陳腐な設計だ。◆個性がなく、無駄がなく、遊び心と主張のないつまらない、そして汚いビルばかりが東京を占めてきていることを寂しく思っている。(添付写真はミラノのビル)
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