2018年04月の記事一覧
◎2018年04月27日 ---- ボス ◎
- やはり解せないハリル解任
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日本サッカー協会の元キャプテンの川淵三郎氏は「サッカーの世界では監督を引き受けた時点でいつ更迭されてもそれに従うというのが常識」と語った。本当にそんなものなんだろうか?解任されたハリルホリッジ元監督は「何て残念なんだろう…私は日本にはワールドカップの準備をしに来て、代表チームをしっかり予選通過させたのに」と不満をもらす。「サッカーの世界で45年…それもハイレベルなところで45年、やってきた。監督は、はかないもの…私自身がナイーブ…ものを知らなかったかもしれない。でも我がチームが強くなるための仕事をしてきた。その私に対して、宣告されたことに大変、失望したわけで、私に対するリスペクトがなかったように思えた」と語った。◆勝負は時に冷酷な判断を求める。しかし、どうしても今回の解任は理解できない。「理解できない」と言うコメンテーターがいないことも理解できない。みながJFAの田嶋幸三会長の決断を指示し、川淵元キャプテンの言うとおりと言う。私はハリルさんに対して申し訳ない気持ちが強い。ハリルさんを解任するならハリスさんを任命した田嶋さんも「任命責任」をとって辞任すべきだろう。◆ハリルさんはボスニア・ヘルツェゴビナ出身。もし日本人の監督がボスニア・ヘルツェゴビナのサッカーチームをワールドカップ予選を通過させたにも関わらず本線の二か月前に突然解任されたら日本人は怒るだろう。不愉快だろう。ハリルさんがフランス人かドイツ人だったら田嶋さんはこんな失礼な判断はしなかったんじゃなかろうか?◆サッカーに詳しくない私が外野でいろいろと言っても詮無いことだが「義理・道徳」を第一に考え生きてきた私には、ハリルさん解任はどうしても理解できない。◆「ハリスホリッジさん、ごめんなさい。私はあなたが『リスペクトがなかったように思えた』と感じたこと、よく理解できます。あまりにも失礼な我が国サッカー界の態度を情けなく思っています。ごめんなさい。」
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◎2018年04月27日 ---- ボス ◎
- 山口君の失敗
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大学3年生の夏、友人らと5人で天神のビアガーデンに行った。かわいい女性二人が隣のテーブルで飲んでいた。「一緒に飲まない?」誰かが声を掛けた。私だったのかもしれない。そこはよく覚えていない。一緒に飲むことになった。彼女らは高校生だった。7人で随分と飲んだ。「みんなでキノシタのアパートに行こうや」誰かが言った。狭いアパートに男5人、女子高生2人が深夜になだれ込んだ。◆天神から箱崎のアパートへの移動中、私は良からぬことを考えていた。(男5人は多い。誰か帰ればいいのになあ)・・残念ながら誰も「オレは帰る」と言い出さず、皆が私のアパートに来た。アパートでは少し飲んだがすぐに寝ることになった。女子高生2人は畳の上に寝た。彼女らの寝姿を眺めながら男5人がけん制する。結局、なにも起こらず朝が来て女子高生は帰っていった。彼女らが帰るまで我々5人は彼女らの寝顔を肴に飲んでいた。もし男が5人でなく二人だったら恐らく別の展開になっていたのだろう。◆昨日TOKIOの山口達也がテレビカメラの前で涙を流しながら詫びていた。 山口は、仕事を通じて知り合った女子高校生を自宅に招いて飲酒を勧めたうえ、酔った勢いで無理やりキスをしたという。◆私の時とは時代も違う。二十歳過ぎの学生(私)と46歳の有名人(山口)では社会的立場も違う。ビアガーデンで飲んでいた女子高生とまじめなテレビに出ていた女子高生も違う。違うことだらけだが、テレビで山口の反省しお詫びする姿を見て、私は自分と重なる部分にも気付いた。山口はとんでもないダメ男であることは間違いないのだが、彼の態度に対して怒りよりも同情を感じた私もまたダメ男である。・・・訂正・・ダメ男であった。
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◎2018年04月26日 ---- ボス ◎
- 自律神経の異常
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「期外収縮」という。不整脈の一種。「トン・トン・トン・ ・トン・トン・トン・トン・ ・トン・トン」という感じで脈が飛ぶ。胸が気持ち悪い。胃炎になったような感じ。病院で検査する。「あまり心配要らないでしょう」と明るく先生は言う。◆夜眠れない。昼間はいつも眠たい。病院で検査をする。「自律神経が著しく乱れています。キノシタさんは圧倒的に交感神経が強く副交感神経が活躍できていません。ここまで極端な事例は珍しい。仕事のストレスだけではこんなに乱れることはないと思います。甲状腺の異常が疑われますね。検査しましょう」ということで検査をした。「甲状腺には異常がありません。一安心ですね。でもストレスを取り除かなければこの自律神経のバランスの悪さは体に大きな負担になります」◆ということであれやこれややっている。いろいろやっているが全く改善の兆しなし。それどころかストレスばかり毎日大きく強くなる。悪循環。毎日「不眠」と「期外収縮」に苦しめられている。酒を飲んでも、ゴルフをやっても、部下を誉めても治らない。
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◎2018年04月25日 ---- ボス ◎
- なぜ謝るのか?
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22日に群馬県で開かれた前橋・渋川シティマラソンで熱中症とみられる症状で男女16人が搬送された。前橋市は23日、入院した重症患者のうち、10キロ部門に出場した20代男性が集中治療室(ICU)で治療を受けていると明らかにした。実行委員会の会長を務めた山本龍市長は「心からおわびを申し上げる」と陳謝した。当日の前橋市内の最高気温は30・5度に上った。大会前から高温の予報が出ており、実行委は16日に公式ホーページで注意を呼び掛けるメッセージを掲載。経口補水液を新たに取り入れ、給水所のスポンジや飲み物を増やすなど対策も講じた。事前の会議で中止は検討されなかったといい、市の担当者は「結果的に準備が足らなかった。反省と検証をしたい。来年以降は中止も含めてさまざまな判断が必要となる」とした。・・・(以上、上毛新聞)◆私はなぜ市長が「心からお詫びを申し上げる」と陳謝するのか理解できない。ネット社会、マスコミ先行社会となった現在、「ことが起こればまず謝れ。開き直ってはならない」という風潮がある。つい数年前までは「自己責任」という言葉が舞っていたが最近は聞かなくなった。マラソンに出るか出ないかは自己責任だ。あらゆることに完璧に準備ができていなければ主催者の責任になるようでは我が国からすべてのイベントが無くなってしまう。◆みんなでもう一度「自己責任」ということを考え直したいものだ。
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◎2018年04月24日 ---- ボス ◎
- 花の名前は知らなくても・・
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配られたガリ版刷りのテスト用紙には花の絵が並んでいた。それぞれの絵の下には「さくら」「バラ」「ゆり」「チューリップ」などとその花の名前が書いてあった。名前の隣に( )が付いている。50年以上も前のことなのに鮮明に覚えている。問題・・「春咲く花には〇を、秋に咲く花には✕をつけなさい」◆小学校2年生のときのテスト。優等生だった私はそれまで受けたテストは殆どが100点満点だった。だが、この問題用紙を見たときに初めて「分からない」と思った。◆結果は、35点だった。知らない花が多かったうえに私は〇と✕を反対に付けていた。自宅に帰り恐る恐る母にその答案用紙を見せた。母は教育ママではなかったが、その時私は「叱られるかな」と思っていた。◆35点の回答用紙を見ると母は「おや、モトミも100点以外を取ることがあるんやねえ。それもなんと35点?」と笑っていた。私は〇と✕を逆に付けてしまったことを説明した。「〇と✕、勘違いしてなくても、それでも65点やねえ」・・笑っていた。母は優しかった。私は恥ずかしかった。母は続けた。「モトミは男の子やけえ花の名前なんかは知らんでもいいよ。でもな、きれいな花を見たときに『きれいやなあ』って思う気持ちだけは持っとかんといけんで。」◆50年以上の時が流れた。母はすでにいない。朝の出勤時、広尾の坂を歩いて下る。今年は例年に増して躑躅(つつじ)が鮮やかに咲いている。バラやペチュニアもきれいだ。気分よく歩きながらあの屈辱のテストと優しかった母を思い出していた。
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◎2018年04月23日 ---- ボス ◎
- 休養と教養
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ラジオで面白い話を聞いた。我が国に初めて週休二日制を導入したのはあの経営の神様、松下幸之助さん率いる松下電器産業だった。松下幸之助さん自らの提唱で始まったという。そして松下さんはその週休二日制度の導入にあたり、一日を休養にもう一日は教養に充てるように社員に求めたという。「土曜日はどうぞゆっくり休んでください。日曜日は、月曜からの仕事に備え、知識を蓄えたり計画を練ったり予習をしたりしてください」ということだった。◆さて今どれだけの人が週休二日制のうちの一日を教養に充てているのだろう? 直接的な仕事の準備でなくても構わない。簿記の勉強でも、英語の勉強でも、或いは古典の読書でも、和歌や俳句でも構わない。週に一日、まじめに勉強をする癖をつけたら社会人としての可能性が大きく広がるということに気付いていない半人前が多い。
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◎2018年04月20日 ---- ボス ◎
- ネーミング
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今から40年くらい前の話。テレビで「ホンダの新型車のネーミング募集」をやっていた。その車はやがて姉妹車も出すと言う。何にでも興味を持つ私は「この車の名付け親になれたらすごいな」と思いまじめに考えた。卒論だったかテストだったか、とにかく勉強をしなくてはならない時期だったのだが勉強の前に「ネーミング」に気が行っていた。そしてとうとう素晴らしい名前を見つけた。その素晴らしい名前とは「ピリオド」。そしてやがて出る妹車の名目が「カンマ」。「カンマ」と「ピリオド」・・今考えても絶妙なネーミングだと思う。商標登録しようかな?◆私は「カンマ」と「ピリオド」を思いついたその夜、近所に住む親しい後輩のところへ行って「素晴らしかろ?」と自慢げに話した。「そうやな、キノシタさん、『ピリオド』と『カンマ』か、いいなあ」と言ってくれると思ったのだが違った。彼はデキの悪い先輩をなだめるように「キノシタさんなあ、『ピリオド』っちゅうのは『おしまい』っちゅうことやろ。無理やろ。ホンダは『おしまい』なんてものをクルマの名前にはせんやろ」と言った。◆「そうか、ダメか」・・私はネーミングを考えることをやめて勉強することにした。◆しばらく経ってクルマの名前が発表された。「ホンダ シティ」と言う名だった。姉妹車の名前は憶えていない。だがやはり今でも私は「カンマ」と「ピリオド」と言う名の兄弟車があっていいと思っている。素敵な名前だと感じている。◆私に「キノシタさんなあ、『ピリオド』っちゅうのは『おしまい』っちゅうことやろ。無理やろ。ホンダは『おしまい』なんてものをクルマの名前にはせんやろ」と言った彼は今、郷里大分のサッカーチーム『大分トリニータ』の社長をやっている。頑張れ!大分トリニータ。「大分ピリオド」になるなよ!
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◎2018年04月19日 ---- ボス ◎
- 人間到る処青山あり
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あまり教養のない方は(にんげん いたるところ せいざんあり)と読んでいる。正しくは(じんかん いたるところ せいざんあり)。「人はどこにでもお墓はできる、先祖の墓のある故郷にとどまるのではなく、志を持って故郷を出て、大いに活躍すべきだ」と言った意味。高校生の頃、この言葉を知った。励まされた。「大分に残ってよ」と言う母の願いも聞かず上京した。結果、良かったと思っている。ところが最近の若者は・・◆当社は出張が多い。多い者は年間100泊近く出張先のホテルに泊まる。「出張の多い仕事にあこがれを持つ者も多いだろう」と思っていた。ところが当社へ採用面接に来る多くの方が「出張が多い」と聞いて尻込みするという。「ほとんどの方は出張を嫌います」と総務が報告に来た。正直驚いた。「えっ?出張が嫌なの?」聞いた私に総務の担当者は「はい、最近は出張を嫌う方が増えました」◆情けない。みんな役人みたい。◆そういえば昨日も某市役所の頭の固い連中に腹を立てていた。「あなたたちは市民の県民の国民の利益を考えないのか?めんどくさいことがそんなに嫌なのか?」・・・総理のご威光でもあれば彼らは必死に協力してくれるのであろうが、こちらにはそんなものはない。正義と正論で押すしかない。◆「人間至る処青山あり」と思わない、やる気のない、面白みのないヤツばかり増えている◆そういえばウチのバカ娘とバカ息子も、いい年をした社会人だが一向に我が家から出て一人住まいをしようとしていない。ダメだな。
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◎2018年04月17日 ---- ボス ◎
- 余裕
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お客様を食事に誘う。美味しい店を選ぶ。最近は、懐石料理でなくても天ぷらでも寿司でもあるいは焼肉でも一品ごとに説明してくれる店も多い。◆先日、お客様と食事をしているとタケノコの刺身が出た。旨かった。「へえー、もうタケノコの季節かぁ。これはどこで採れたものなの?」私は主人に聞いた。「はい、とても美味しいでしょ。それは鹿児島産です」主人が答える。そんな会話が一品ごとに交わされた。私は器を眺め、窓からの景色を楽しみ、掛かっている絵画を誉めた。もちろん食事を一番楽しんだ。ところが・・。◆私が招待をした客は仕事に関する話をしたくてたまらないようだ。私が主人と食事や景色や絵画の話をする間はただ黙って聞いている。主人が離れると仕事関係の知人の話を始める。〇〇社の△△さんと昔一緒に仕事をした、とか✕✕省の◇◇さんは気が短くておっかない、とか。誰を知っている、ばかりを語る。こちらは「へえー、そうですか」しか言えない。◆2時間以上の食事の間、彼は「美味い」も「不味い」も食事に関することは一言も言わなかった。素晴らしい絵画や景色や器も彼にとっては「そんなの関係ねえ」っていう感じのようだった。◆私は「次回、この人とやるのは新橋の大衆居酒屋でいいな」と思った。そう思ったが、私から彼を誘って飲むことはもうないだろう。◆余裕のない人間は寂しい。
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◎2018年04月11日 ---- ボス ◎
- 蓼食う虫も好き好き
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私には大して美味しいと思えないのに連日行列ができる店がある。値段が安い、というのなら理解できるのだが安いわけではない。その店はテレビには時々取り上げられるようだ。馬鹿ヅラしたレポーターが「う、うめー!(う、旨い!)」などと叫ぶ。それを見ていた者たちが騙される。そこで翌日行列ができる。行列に並び、やっとそれを食べた味も分からない人間が「美味かった!」と叫ぶ。行列が長くなる。また誰かが「美味かった」と言う。おそらくそういったことだろう。◆「牛カツ」「生パスタ」などが典型的。どんなに頑張っても「牛カツ」は「トンカツ」には叶わない。同様に「生パスタ」は乾麺の「アルデンテ」に叶わない。私はそう信じている。それなのに「ホントにこんな美味しいの、初めて!」と大声で言うヤツに押されてしまう。「オレはあんまり好きじゃないな」とはっきり言うヤツがいない。「牛カツ、生パスタ、全然美味くないよ。少なくともオレはトンカツ、乾麺アルデンテの方がよほど美味いと思いますよ」私はしょっちゅう言っている。◆そういえば最近は安い天ぷら屋でも「僕は天つゆよりも塩で食べたいな」などと気取った輩が多い。超高級店じゃない限り天ぷらはツユで食った方が上手い! と私は思っている。どうだろう?
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◎2018年04月10日 ---- ボス ◎
- ハリルホジッチ解任
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マスターズでPリードが優勝したまさにその時エンゼルスタジアムでは大谷が6回までパーフェクトピッチングを続けていた。マスターズに酔い、大谷に興奮した多くの日本人はその夜、今度はハリルホリッジ監督解任のニュースに驚く。少しでもサッカーに興味のある日本人はすべて、びっくりしたことだろう。◆ハリル解任を告げるテレビの報道番組。いつもは「とんでもない!」「けしからん!」を繰り返すコメンテーターたちがこの報道にはなぜか怒っていない。私にはそこが不思議だった。◆私はハリルホリッジファンではない。ハリルの采配が良いのか悪いのか評価できるほどサッカーに詳しくはない。それでも「そりゃ、あんまりじゃないの?」と思った。ロシアワールドカップまであと2か月。少々選手から不満がでていようがハリルで戦うべきじゃないの?ハリル可哀そう。しかし、なぜか誰もハリルをかばおうとしない? 誰も田嶋会長の決断を「間違いですよ!」と言わない。そんなにハリルは人でなしだったのか?◆さてロシアワールドカップ。もし日本がベスト16に残れたら「あそこでハリルを交代させた田嶋会長の英断のおかげ」となり、残念ながら(予想通り)予選敗退したら「ハリルが悪かったから」となるのだろう。それこそ「あんまりだ!」◆やっぱりハリルでロシアワールドカップは闘うべきだったと私は思う。今回の更迭はきっと誰も救われない。ハリルと合わなかった生意気な選手だけが喜んでいる。
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◎2018年04月10日 ---- ボス ◎
- 「じっと手を見る」
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20歳代、30歳代の頃は貧しかった。「オレのように賢い男が、こんなに一所懸命働いて、なぜこんなに貧しいのだろう」と不思議に思っていた。世間に対し、神様に対し、腹を立てていた。たまに会う同級生に「キノシタ君、元気?調子どう?」と聞かれると「うん『じっと手を見る』毎日だよ」と答えていた。それを聞いて彼はニヤッと笑い「僕も同じ」と答えた。少し教養のある者は「じっと手を見る」という言葉だけで分かった。◆石川啄木の短歌「はたらけど はたらけど猶わがくらし 楽にならざり じっと手を見る」と「友がみな われより偉く見ゆる日よ 花を買い来て妻と親しむ」は若いころの私のテーマ曲のようなものだった。子供たちが小学生の頃、この短歌を教えた。そういえば息子が小学四年生のときこの二首に合わせて「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という故事成語を教えたことを今思い出した。◆あの頃ほど貧しくはないが、それでもまだ「じっと手を見る」ことは多い。友がみな偉く見えることもなくなったが、花を妻と親しむ機会はさらに増えてきた。
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◎2018年04月09日 ---- ボス ◎
- 燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや
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「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」・・ツバメやスズメにどうして鳳(おおとり)の考えが分かるだろうか? いや、分かるわけもない。「えんじゃく いずくんぞ こうこくの こころざしを しらんや」と読む。自分を「鴻鵠」に例え、自分を理解してくれない人たちを「ツバメやスズメ」に例えるのは今で言う「上から目線」。今この中国の故事成語を使うと「あいつ上から目線で生意気」などと言われるのだろう。だが、高校の国語の授業でこの言葉を習った頃、私はこの言葉が大好きだった。友人たちに向かって冗談でよくこの言葉を使っていた。残念ながら今の若い人はほとんどこの言葉を知らない。◆ところで今私はヘリコプター操縦士の訓練場所を国内に造ろうと一所懸命に頑張っている。これから熟練操縦士の大量リタイアが始まる。どんどん新米パイロットに替わっていく。言いたくないが、想像したくないが、このままでは間違いなくヘリコプター事故が増える。それも山の中での事故ではなく都会での大事故が増える。そうならないためには十分な訓練をするしかない。十分な訓練さえすれば事故は増えないのだ。しかし我が国には十分な訓練場所がない。だから私はリスクを負ってまで、身を粉にして、国内に操縦士訓練場所の設営を目指している。◆ところが「あなたの命を守るためですよ」「業界を守るためですよ」といくら説明しても全く理解を示さない者が多い。面白いのは現役を退いた元パイロットは「キノシタさん、素晴らしいことだ。頑張ってください」と応援くださるのに、現役の運航会社やドクターヘリに乗る機会の多い方々がなかなか理解を示さない。◆「私は事故には遭いません」「事故を起こすのはよその会社です」「運航会社は大変ですね」・・そんなことばかり言っている。私が「あなたのことなのですよ」と説明しても分からない。◆悔しい事ばかり続く。なぜ日本の医療のそして日本の航空の将来のために私はこんなに頑張っているのに、なぜあなたたちは関心を示さない?自分の目先の利益しか考えない?悔しい。◆「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」とつぶやきながら毎日自分を慰めている。
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◎2018年04月06日 ---- ボス ◎
- また心優しき罪人がうまれた
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両親のいない貧しい兄弟は懸命に生きてきたが弟が病に倒れる。兄は弟のためにさらに必死に働くが治る見込みのない弟は、兄に苦労を掛けることを申し訳なく思い自らの命を絶とうとする。首にカミソリを入れる。もがき苦しむが死にきれない。そこに兄が帰ってくる。もがき苦しむ弟は首に刺さったままのカミソリを抜いて楽にしてくれと兄に頼む。兄がカミソリを抜くと血が噴き出し弟はやっと死ぬことができた。だが兄は殺人者となる。森鴎外の「高瀬舟」はこんな話だったと記憶している。弟の願いを聞いて弟を楽にしてあげた弟思いの兄が殺人者になってしまった。◆老々介護のおじいさんが、おばあさんの「お願いだから私を死なせて」という願いを聞いて泣きながら優しくおばあさんを死なせてあげて殺人罪になったというような事件が時々起こる。◆保守派の評論家、西部邁さんは舌鋒鋭いダンディな方だった。おそらく「もう十分に生きた。これ以上は生きたくない。きれいに死にたい」と思ったのだろう。だが手の不自由な西部さんは一人では死にきれない。そこで最も信頼できる友人に応援を頼んだ。「頼む、オレの最後のわがままを聞いてくれ」とでも言ったのか。西部さんに恩義を感じている心優しき友人は西部さんの最後のお願いを聞いてあげた。結果、自殺ほう助をした罪で逮捕された。◆「安楽死」という制度がわが国にあればこれらの「心優しき殺人者」を作らずにすんだのに。これから団塊の世代の方々がいよいよ高齢化になり、その結果ますます「心優しき殺人者」が増えることが予想される。そうなる前に早くわが国でも「安楽死」を合法化することを私は強く望んでいる。
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