2020年10月の記事一覧
◎2020年10月27日 ---- ボス ◎
- まず「譲る」こと
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実は数年前にもこのエピソードをこの欄に記したことがある。私の最も古い、幼い、楽しい記憶である。2歳の終わりころ、あるいは3歳になったばかりの頃のことである◆その日、姉(当時5歳)の友人が我が家に遊びに来ていた。2階の子供部屋で姉と友人は二人で遊んでいた。私は母と一緒に一階の台所にいた。「これ、3人で分けて食べよ」母が森永キャラメルを一箱くれた。それを持って私は2階の子供部屋に向かった。幼い私は片手にキャラメルの箱を持って這うように階段を上った◆「これ、かあちゃんが『三人で分けよ』ってくれた」そう言いながら私はキャラメルの箱を開けた。キャラメルが8個入っている。「はい、姉ちゃん」と言って3つあげた。「これは、しーちゃん」と言いながら姉のお友達にも3つあげた。「僕は2つでいいけん」と遠慮したことを覚えている。◆普通の子供なら「僕がもらったのだから、僕は3つね」など言いそうなところ。あるいは「じゃんけんしよう」と言うのか。だが私は「僕は2つでいいけん」と言った。天性の謙虚さがあったのか?(笑)◆しかし、どこかでやはり寂しかったのだろう。一人で台所に下りて母に言った。「キャラメルは8個やった。姉ちゃんとしーちゃんに3つずつやった。僕は2個」◆途端に母親が笑顔になった。優しい優しい笑顔だった。「モトミは偉いなあ」そういうと戸棚から角砂糖を一つ取って私にくれた。「はい、これ、ご褒美」◆その角砂糖はキャラメルよりも10倍も甘く美味しかった。「人に譲ること」「人に優しくすること」をすれば、やがてその何倍ものよい事が返ってくる。幼い私に、母は愛情を持って、そういうことを教えてくれた。私の大きな財産のような想い出。
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◎2020年10月26日 ---- ボス ◎
- 二流国、三流国への転落
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昭和の終わりから平成の初期にかけて我が国は世界の超一流国であった。1979年にエズラ・ヴォーゲルが著した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(原題:Japan as Number One: Lessons for America)は、1980年代になって広く世界中で読まれた。世界中の人々が日本を「超一流国」と認めていた。平成に入りさらに調子に乗った我が国は、有頂天になり国民は享楽をむさぼった。ところが、当然、バブル景気がはじけ凋落が始まる。実際には急激なダウンなのだが国民は気付かない。◆30年が経った。既に我が国は世界の「超一流国」どころか「二流国」か「三流国」に成り下がってしまっているが、まだ多くの国民は気付いていない。「国民一人当たりのGDP」は世界25位~27位あたりまでに落ちた。人口はこれから急激に減っていく。「国民一人当たりの借金」は世界最大になる。まだまだ凋落は続く。◆この凋落の最も大きな要因は我が国の「教育」に対する考え方だと思う。「バカでも大学に進学する時代になった」つまり勉強しないヤツらが4年間以上のモラトリアムを20歳前後で浪費する。「厳しさ」が否定される時代になった。「パワハラ」なる言葉が独り歩きし、会社のためや彼のために厳しい指導をした真面目な上司が「やり過ぎです!」といって放逐される。私が可愛がっていた大変有能な将来を嘱望された銀行マンも可哀そうに「パワハラ」が原因で銀行を去った。◆「経済的格差」が言われるが「厳しさ・優しさ格差」は問われない。なぜ? ◆世の中どこも「甘い親」「優しい親」「優しい上司」ばかり。「甘い親」「優しい親」「優しい上司」以外は「無関心な親」と「無関心な上司」・・これらが我が国をあっと言う間に「二流国」に押し下げた。「優しくて厳しい親」「優しいけど怒ったら怖い上司」がいなくなった。◆要するに「人に対する愛情が欠落し」「自分さえ良ければいい」という人間が増えてしまった結果だと私は思っている。
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◎2020年10月23日 ---- ボス ◎
- 国産ジェット 凍結へ
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私の古い友人Kさんは6年前から言っていた。「キノシタさん、無理です。おそらくMRJ が型式認定を取ることはないでしょう。三菱の能力不足です」それを聞いていたHさんも「うーん、残念ですが、私もそう思いますよ。無理でしょうね」◆6年も前の話ですよ!当時、私はその話を信じませんでした。「天下の三菱重工ですよ。世界の三菱ですよ。2.3年で飛ぶんじゃないですか?」と笑顔で帰していた。◆それ以降、KさんとHさんと会うと必ずその話になった。「MRJ」は「スペースジェット」と名前を変え「もうすぐ」「もうすぐ」と言ってきた。◆先ほどyahoo newsが「三菱重工業が国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の事業を凍結する方向で最終調整していることが22日、複数の関係者への取材で分かった。」と報じた。Kさんから電話で「ほらね、私が言っていたとおりになったでしょ」と言われそうだが、まだ、かかってきていない。明日、かかってくるかな?◆しかし我が国の産業界は大打撃だ。頑張らなければならない。
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◎2020年10月20日 ---- ボス ◎
- 義理や道徳が重んじられない世界
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ヘリコプター業界という狭い世界では「義理」や「道徳」に対する意識が低いように感じている。カネのために平気で仲間(と思われていた人)やそれまでお世話になった会社を裏切るようなことをする。私の元にも「この商品エアロさんで納入してくれませんか」などと言って現在自分が所属する会社の商品(商権)を持ち込む人が何人かいた。私は丁重に断る。心の中では「あなたは『一宿一飯の恩』と言う言葉を知らないの?不満はあるのかもしれないけどあなたの生活をこれまで支えてくれた会社でしょ?そこの商品(商権)をこっそり持って出る、それもカネのためにってどういうこと?」と聞いている。◆ヘリコプターと言う乗り物を操縦するときには「人の意見は聞くな!」「まずは計器を信じ、次に自分を信じる。人の意見を聞いてはならない」と教えられる。操縦士も整備士も自分の腕に自信を持てるまで鍛えられる。それはよい事。だが、その過程のどこかで「仲間を信じる。仲間を裏切らない。先輩に尽くす」そういった意識が薄くなっているように感じる。◆そういえば、私もかつて大切に育てて来た(と思っていた)部下に裏切られた。「キノシタさんのことは大好きなんですが・・・」などと手紙をよこした彼は、私が大金を投じたある製品が完成し、購入予定者が明確になったところで出て行った。彼は顧客たちに「分社しました。これからはこの製品はこちらで販売します。キノシタはヘリポートを担当しますから、引き続きキノシタもよろしく」などと平気で嘘をついて大儲けしていた。いまだにそんなヤツが結構多いようで悲しい。
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◎2020年10月19日 ---- ボス ◎
◎2020年10月16日 ---- ボス ◎
- PTAでの自慢話
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幼稚園に入る前の年だから4歳か5歳の頃のことだ。小学校2年生の姉の授業参観(PTA)に母と一緒に訪れた。算数の授業だった。先生が黒板に問題を書き「分かる人?」と訊ねる。50人近いクラスだったが手が挙がったのは半数もいなかった。私には答えがすぐに分かった。「〇〇やなあ」と母に小さな声で言った。いや、どうもそれほど小さな声ではなかったようだ。母は口にひとさし指を立て「シー」と言ったが参観するお母さん方がざわついた。「ボク、いくつ?」などと聞いてきた。母は恐縮して皆に頭を下げていた。◆そう、4~5歳のころまでは私は「神童」と呼ばれていた。いや「神童」とは呼ばれてはいなかったが極めて算数のセンスの良い子供であった。姉のPTAについて行くのが楽しみだった。算数の授業であることを願っていた。
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◎2020年10月12日 ---- ボス ◎
- ホールインワン (証人がいなければ保険が下りない)
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本日のゴルフ。17番ホール。155ヤードのショート。7番アイアンがジャストミート! ボールはグリーン上で小さく跳ねたあとピンに向かって転がった。私は目が悪いので(左右とも0.3)よく見えなかった。「入った!」 同伴競技者二人が同時に大きな声を上た。「消えたよ、入ったんだよ、ホールインワンですよ」。私は見えてないので実感がわかない。カートに乗ってグリーンに急ごうとしたがすぐに冷静になった。「誰も証人がいない。我々以外、誰も見ていない」そう思った。◆ホールインワン保険に入っている。私がホールインワンを出したら100万円が出る保険。ただし不正防止のため「間違いなくホールインワンであったことを証明する第三者の証言がいる。それは前を行く組の方でも後ろから来る次の組の方でも、掃除のオジサンでもいい。キャディさんならさらにいい。◆しかし台風の余波の残る霧雨の中のゴルフ場。回りには誰もいない。前の組は1ホール以上も前を行っている。後ろの組とは30分くらい開いている。これではせっかくのホールインワンなのに誰も証人がいない。それでは保険が下りない。保険が下りなければドンチャン騒ぎができないではないか!困った。私はスマホを取り出してゴルフ場に電話した。「17番ホールを回っているキノシタです。多分、ホールインワンのようなのだけど回りに誰もいないんだ。どうしたらいいでしょう?」電話の向こうが騒がしくなった。キャディマスターに替わった。「キノシタさん、私が至急17番ホールに向かいます。ちょっとそこで待っていてください」。私たちはティーグラウンド(最近ではティーイングエリアと言う)で待った。カートがここにあるということは我々がインチキをしていないことの証拠になるだろう、と思った。◆私はここ数年味わったことのないようなトキメキを覚えていた。「とうとうオレもホールインワンを出した!」と、すごい満足感。だが本当にボールはホールの中に入っているのだろうか?「間違いないよ。転がったボールがすっと消えたのだから」と一緒に回っているSさん。するとYさんが「そうだ、私が確認してきます。キノシタさんたちはカートに乗ってここで待っていてください」と言ってグリーンの方へ駆けていった◆キャディマスターが駆け付けたのと、確認に行ったYさんが「残念!入ってません!」と言ったのがほぼ同じだった。◆残念。大騒ぎをして申し訳ない。それでも、それでも私は数年ぶりに「トキメキ」を経験したことが嬉しかった。悔しいことなど全くなかった。楽しかった。なんとなく本当にそろそろホールインワンが出そうな気がしてきた。
僕たちは気になります。カートに僕と佐々木が残り横山さんにグリーンまで確認に行ってもらいました。
「100万円を3人だから随分と贅沢なハワイ旅行に行けますね」などと話していました。
ところが、横山さんが残念マーク。入ってませんよ!
なんと、ボールはグリーンの上に残ってました。それもピンから5mも手前に。
カートに乗って渡(わたり)さんが来ました。「おめでとうございます」と言ってます。「ごめんなさい。お騒がせしました。入ってませんでした。すみません」
ということです。
でも久しぶりに トキメキました。興奮しました。天国の近くまで行きました。楽しいゴルフでした。... 続きを読む
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◎2020年10月07日 ---- ボス ◎
- 春歌
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高校時代、女性のおっぱいはおろか手すら握ったことがないような、いわゆるガリ勉クンだったS君。東京の大学へ進学し、故郷佐伯市で開かれた成人式のあとの同窓会で会うと別人になっていた。なんとあの堅物S君がみんなの前で自慢げに「春歌」を披露したのだった◆当時の男子大学生は「飲み会」といえば「春歌」だった。東京も京都も福岡も札幌もまともな男子大学生は「春歌」を歌って聞いて踊って、涙を流しながら笑いそして飲んだ。◆ところが、いつのまにか「セクハラ」だなんだと小難しいことを言うスカした奴らが増えてきて「春歌」は男子大学生の宴会の表舞台から消えてしまった。いまやパソコンで「しゅんか」を「変換」しても「春歌」とはならない。「春歌」という言葉すら消滅の危機にある。そこで私はあの良き時代の記憶を留めるため、そして牙を抜かれたような情けないスカした男子大学生に「肉食」のDNAを存続させるため「春歌集」を作ろうと決心した。最初に相談した元NHKの大物Iさんは「キノシタさん、それは素晴らしい企画です。私は立場上、正面から応援はしにくいのですが、私の持っている資料はすべて提供しますから是非実現してください」とのことだった。◆あのころ歌った「春歌」を募集します。当時歌っていた歌詞をメールで送ってください。よろしくお願いします。
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◎2020年10月06日 ---- ボス ◎
- お会いしたい方々に会えない寂しさ
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私には、一年に一回程度お誘いし食事を共にしながら昔話を楽しむ先輩が数名いる。建設業界にもいるがヘリコプター業界にもいる。かつて、若気の至りで失礼な対応をしたにもかかわらず優しく応援してくれる方もいる。◆コロナの影響で、今年はお誘いしにくい。私はコロナ対策をしっかりしてくれている店で毎晩のように会食をしているがさすがに70歳を超えた方々はお誘いしにくい◆本当は同年代の方々よりも先輩と語らうことの方が刺激になることも多く楽しい。ヘリコプター業界の先輩方、お元気にしていらっしゃいますか?私からはお誘いしにくいのですが、「コロナなんて気にしないよ」とトランプさんおように元気な先輩いましたら是非、新橋まで遊びにいらしてください。ヘリコプター業界のこと、ドローンや空飛ぶクルマのこと、楽しくお話ししましょう。
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◎2020年10月01日 ---- ボス ◎
- がむしゃらに働く
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人生を振り返ると「とにかく勉強した」「がむしゃらに働いた」という時期がある。「勉強した」「働いた」という経験は間違いなく自分の財産になる。◆世の中が豊かになり平和になると「そんなに頑張ってどうするの?」というムードが強くなる。一生懸命勉強しなくても、がむしゃらに働かなくても、人並みに食べられて人並みの生活ができればよい、と考える者が増えてくる◆それじゃダメだ。今、私の回りを見てかつての私くらい「がむしゃらに働いている」者は一人もいない。おそらく私の1/3も働いていない。勉強もしていない。私は不満足◆おっ、一人いた。私の身近な者が今、がむしゃらに働いている。外資系のコンサルタント会社に勤務する30歳前の青年。昨夜も夜中の3時に「やっと仕事を終えこれから帰宅です」とのメールが届いた。若いのだからこれくらいみんな頑張らなくてはならない、と思うのだが世間は甘いようだ。
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