◎2022年01月06日 ---- ボス ◎
- バイオリンの音
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「バイオリンっちゃ弦を弓でこすって音を出すじゃあ。なんかキーキー言うようでお母さんはあんまり好きやないなあ。それよりもギターのほうがよっぽどいいわ。弾いて音を出すけえな。一番いいのはやっぱりピアノやねえ。ピアノが一番キレイな音やし落ち着くなあ」そんなことを母はよく言っていた。私は相手にしなかった。「そんなもんかいね」と答えただけだった。私が高校生のころ、NHKで交響楽団の演奏を聴きながらの会話である。◆あれから数十年が経ち、気付くと私は、母が「あんまり好きやないなあ」と言っていた「弦をこすって音を出す」楽器の音色が最も好きになっていた。バイオリンはもちろんビオラやチェロなども好き。世界的な二胡奏者のウェイウェイウーさんに頼んで私がプロデュースするCDを作ったこともある。◆毎年正月にあるテレビ番組「芸能人格付けチェック」を楽しく観る。今年は弦楽六重奏の聴き比べ。「総額65億円のストラディバリ」と「総額500万円の普通の楽器」を聴き比べる。YOSHIKIさん以外の回答者は全員はずした。私も外した。分からない。敢えて言うなら「総額65億円のストラディバリ」のほうが、母が言っていた「弦をこすって音をだすじゃあ。なんかキーキー言うようでお母さんはあんまり好きやないなあ」という言葉が理解できる感じだった◆まだまだ私は「好き」なだけで「良い音を聞き分ける」ほどの力はないようだ。ま、それも楽しい。◆余談だが私が愛するカントリーミュージックの一種に「ブルーグラス」というジャンルがある。ブルーグラスには「フィドロ」と呼ばれる安いバイオリンが加わることが多い。ストラディバリなどは絶対に使用されない。私はこのフィドロの音色が大好きである。
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