◎2022年05月27日 ---- ボス ◎
- 始めは「円」だった「栓抜きビル」
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「上海環球金融中心」というビルを知っているでしょう。「上海ワールド・フィナンシャル・センター」とも呼ばれ、オープン当初は「上海ヒルズ」とも呼ばれていた。完成時には世界一の高さのビルになる予定だったが、実は途中、工事が一時的に中断したために残念ながら世界一ののっぽビルになることはなかった。(それでも未だに世界5位くらいでしょう。)◆日本の景気がまだ良かったころ、森ビルが中心に開発を進めた。このビル、通称「栓抜きビル」とも呼ばれている。ビルの上部に大きな四角の空洞があるため、ビル全体が巨大な栓抜きに見えるからである。この「栓抜きビル」の四角の空洞は元々は四角ではなく円形での設計だった。◆15年くらい前だった。六本木の森ビル本社には「上海ヒルズ」の完成模型が展示してあった。その模型では空洞は円形だった。すごくかっこよかったのを覚えている。「すごいですね。日本はもう中国にかなわないですね」などと森ビルの担当者と話していた。◆それからしばらくして再度、森ビルを訪問した時に「円形の空洞」が「四角い空洞」に変わっていた。私は「えっ?なんで四角にしたの?丸い方がかっこよかったじゃない!」と質問した。すると担当者が「あまり大きな声では言えないのですが・・・。実は私は中国の公安に逮捕されました。一週間も拘留されました」と言う。なんでも「世界一ののっぽビルをこの上海に建てて、そのビルの最上部に『日帝』をイメージする日の丸の円を掲げるとはとんでもない!わが上海を日帝のマークが見下ろすのか!ふざけるな!」とののしられたそうである。かくして設計変更を余儀なくされ、あのビルは丸い空洞ではなく四角い空洞になり「栓抜きビル」と呼ばれるようになった。◆このことはなぜか広く知られることなく、いまだに多く語られることがない。中国に忖度しているようだ。
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