2022年06月21日 ---- ボス

「ドア、閉めさせていただきます」

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平成元年、私は下石神井(しもしゃくじい)に住んでいた。最寄りの駅は西武新宿線の井荻駅。毎朝、満員電車で出勤していた。ある日からホームでのアナウンスが変わった。それまでは「ドアが閉まりまーす」と鼻にかかった駅員独特の声で案内されていたのが「ドア、閉めさせていただきまーす」に変わったのだ。私はうんざりした。最初はどこか一つの駅だけだったのがすぐに西武新宿線のすべての駅で「ドア、閉めさせていただきまーす」などと気持ち悪い日本語になったのだった。◆その後、私はクルマでの通勤になり、さらにその後すぐに転居したので西武新宿線に乗ることはなくなった。今はなんと案内しているのか知らない。いまだに西武新宿線では「ドア、閉めさせていただきまーす」なのだろうか?まさか、そんなことはないと思うが・・・◆あのとき私は想像した。きっと、賢くないけどゴマすり上手な幹部が「お客様に対しては丁寧な言葉使いにしましょう。『ドアが閉まります』じゃなくて『ドア、閉めさせていただきます』と言うことにしましょう」などと言い出したのだろう。それに対し、やはり賢くない部下たちは陰では「変なの」とか「馬鹿じゃないの?」などと言いながらも上司に言われるままに「ドア、閉めさせていただきまーす」と言っていたのだろう。私はそんなアホな上司とアホな部下の関係を想像しながら「この電車はオレの乗る電車じゃないな」と思ってクルマ通勤に替えたのだった。◆「お客様に対しては・・・」とか「経費節減のために・・」とか「環境のために・・・」などと言われるとなかなか反対しにくい。正論には必ず隠れた反対意見があると思う。反対意見の方が長期的には正しいことも多いようだ。

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2024年04月24日 ボスの
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