2011年07月26日 ---- 天吾

クイズミリオネアの不思議

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みのもんたさんが軽妙な語りで司会をされるクイズ番組「クイズミリオネア」をご存じでしょう。世界のあちこちで同様の番組があり、映画「スラムドッグ・ミリオネア」はインドが舞台でした。クイズは四者択一で進んでいきます。自分の獲得金全額を賭けて次の問題に挑んでいきます。問題はだんだんと難しくなっていきます。最後は500万円を賭け金に1000万円に挑戦です。この時点で50:50(フィフティーフィフティー)を使える権利が残っていれば正解できる可能性は50%を超えることになります。しかし、まず、ここまで50:50などのライフラインを残している回答者はいません。よほど博学な方でない限りまず正解できる可能性は1/4(25%)でしょう。

まともな企業経営者は500万円を手にしたらそこでおります。いえ、それ以前にライフラインを使い切ったところで降りるべきでしょう。「企業経営は確率・期待値の世界」なのですから。ところが私が知る限り、500万円で止めた解答者はいません。みな、無謀にも1000万円に挑戦します。4人に3人は失敗し獲得賞金がゼロになります。

1000万円に挑戦する段階で、それまでに獲得した金額500万円は彼にとっては「あぶく銭」なのです。だから博奕を打つのでしょう。もし「あぶく銭」ではなく、1000万円に挑戦するのに銀行から500万円を借りて賭ける仕組みなら誰も挑戦しないでしょう。金銭に関する錯覚を利用して魅力的な番組に仕上げているのですが企業経営者としてはこのような錯覚には引っかからないように注意を喚起してくれる番組でもあります。

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