◎2024年07月31日 ---- ボス ◎
- 泣くな!
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森本毅郎さん84歳、徳光和夫さん83歳。二人の現役アナウンサーは私が「こんな80歳になれたらいいな」と思う理想的な人生を送っているように見える。◆今日は、森本さんの指摘で私も目が覚めたという話。私は毎朝、TBSラジオの『森本毅郎 スタンバイ』を聴いている。森本さんの博学には驚かされるし84歳になった今も旺盛な知識欲をお持ちなことに感服する。私もこんな80歳になりたいと思う所以である。その森本さんが今朝の番組で、オリンピック柔道の阿部詩選手の負け試合後の号泣に関して辛口コメントを発した。◆私は数日前のこの欄でも紹介したように阿部詩選手の号泣に同情し、「誰にも負けない努力を続けて来たから」と書いた。詩さんが可哀そうでしかたなかった。気まぐれな神様を恨んだ。だが森本さんは違った。厳しかった。◆負けた時の態度、悔しいのは分かるがアレはダメでしょう。勝っても奢らない、負けても泣かないのが柔道、勝負の世界でしょうというようなことを言っていた。詩ちゃんの気持ちは分かるがあの態度はダメだと繰り返していた。号泣を許すコーチもダメだと言っていた◆森本さんの言葉を聞いて私も思い直した。柔道で負けて人前で号泣するようじゃダメだ。そのような教えが必要だな、と。◆今から12年前、ロンドンオリンピックの後、私は以下の文章をこの欄で書いている。長くなるが全文コピペする。・・・・●●ロンドンオリンピックは様々な感動を残して無事閉幕した。テレビ観戦しながら何度か涙を流した。ひたむきに、がむしゃらに、そしてストイックに自分の人生の最も美しい時期を一つのことに捧げる。勝っても勝てなくても感動的。勝敗以上に素晴らしいドラマを見ることができるのがオリンピック。◆今回のオリンピックで私が最も感動し、涙を流したのは・・。恐らくほとんどの方は「えっ?なんで?」と思われるかもしれない。お話しするのは少し恥ずかしいが実は女子レスリングの浜口京子さんの家族に対して。京子さんはふがいない試合をして一回戦で敗れた。試合後、報道陣が両親にインタビューしているところへ京子さんが現れると父親の元プロレスラーのアニマル浜口氏は多くのカメラの前で京子さんを罵倒する。◆「なんであのとき・・・しなかったんだ」「なんのためにこれまで一所懸命やってきたんだ!」父親の罵倒は止まらない。隣で優しい母親が止めに入る。「あなた、やめなさいよ!京子は十分頑張ったじゃない!」・・・すると父親は母親へ向かって「うるさい!オマエは黙ってろ!」◆こんな光景が繰り返された。博多で私と一緒にテレビを見ていた義父は「もうよかろうもん。終わったっちゃけん、そげえ叱ってもどうもならんめえもん。」とつぶやいた。◆私は浜口氏の言動に強く興味をひかれた。「ただのバカ親じゃないな」と思ったところで彼の口調が少し穏やかになった。「日本中の方々が京子に期待して応援してくれていたんだ。その皆様の期待に応えられなかった。ここでオヤジであるオレが叱らなくてどうする!?」・・・「そりゃあオレでも『京子、お疲れさん。今までよく頑張ったな』と言って抱きしめてやりたいよ。でも、こんな試合のあと、すぐにそんなことはできない。」「親が叱るしかないんだ!」◆浜口氏の目に光るものがあった。ほんの30年前、日本の親はみんな浜口氏のようだったと思う。私は溢れる涙をこらえきれなかった。
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