2018年03月29日 ---- ボス

くそ面白くない奴ら

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ある立食パーティーの会場。私は周りに話し相手がいなかったので黙って一人でワインを飲んでいた。向こうの方には知っている学者たちもいたがそれほど親しいわけでもない。おべんちゃらを使うよりは一人の方がまだ楽だ。そっと一人で飲んでいた。この手のパーティーは苦手だ。◆「くそ面白くない奴らね」隣で女性の声がした。以前から知っている女性だった。「くそ面白くない奴らね。うわっつらだけ。人間としての厚みがないのよね。きっとあれ以上の何もないのよ」酔っているわけでもなさそうだが彼女は私にだけ聞こえる小さな声で向こうの彼らの悪口を続ける。「私だってはじけていた頃にはいろんな経験をしたわ。黙って天国まで持っていかなければならない思い出も多いわ。キノシタさんだってそうでしょ?でもきっと奴らはそんなのなんにもないのよ。あれがすべてなのよ。面白くないわよね、あんな男たち」なんとなく彼女が言いたいことは理解できた。正直に言うと彼女の言葉が心地よかった。だが肯定するわけにもいかない。「おいおい待ってくれよ。キミが若いころどんな悪さをしたのか知らないけど僕には黙って天国まで持っていかなければならない思い出なんてないよ」私はまるで村上春樹の小説の主人公のような言葉で反論した。彼女は一言「ウソおっしゃい」と言った。◆悪い気はしなかった。「くそ面白くない奴」と陰で言われるよりは勘違いされてでも「面白い奴」と思われていた方がいい。

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2024年04月24日 ボスの
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