2018年04月10日 ---- ボス

「じっと手を見る」

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20歳代、30歳代の頃は貧しかった。「オレのように賢い男が、こんなに一所懸命働いて、なぜこんなに貧しいのだろう」と不思議に思っていた。世間に対し、神様に対し、腹を立てていた。たまに会う同級生に「キノシタ君、元気?調子どう?」と聞かれると「うん『じっと手を見る』毎日だよ」と答えていた。それを聞いて彼はニヤッと笑い「僕も同じ」と答えた。少し教養のある者は「じっと手を見る」という言葉だけで分かった。◆石川啄木の短歌「はたらけど はたらけど猶わがくらし 楽にならざり じっと手を見る」と「友がみな われより偉く見ゆる日よ 花を買い来て妻と親しむ」は若いころの私のテーマ曲のようなものだった。子供たちが小学生の頃、この短歌を教えた。そういえば息子が小学四年生のときこの二首に合わせて「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という故事成語を教えたことを今思い出した。◆あの頃ほど貧しくはないが、それでもまだ「じっと手を見る」ことは多い。友がみな偉く見えることもなくなったが、花を妻と親しむ機会はさらに増えてきた。

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2019年01月23日 ボスの
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