2018年12月19日 ---- ボス

新たな師匠

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20年ほど前、ヘリコプター業界の隅っこで、駆け出しの経営者になったばかりの頃、毎日毎日必死で働いていた。希望もあったがそれよりも恐怖心の方が大きかった。「こんな状況で会社を潰すことなくやっていけるのだろうか」と不安だった。小さな仕事でも受注に向けて寝る間も惜しんで頑張った。そんなとき、契約寸前までいっていた案件が流れてしまった。時間をかけて仕込んでいたものだったので失注して悔しかった。死活問題に感じた。◆業界最大手の商社が絡んでいた。先方の担当者は知らない中ではない。私が必死にこの案件を仕込んできたことを知っているはずだ。私は彼に文句を言った。のらりくらりとかわされた。彼の態度に業を煮やした私はあろうことかその大商社の社長に噛みついた。◆「彼は立派な人ですよ。打ち解けたらきっとキノシタさんも彼のことを好きになると思いますよ。私が間に入りますから一度ゆっくり話してみませんか」心優しい友人が私とその大社長の間を取り持とうとしてくれたが私は蹴った。私は若かった。不安・怒り・自信・焦り・・いろんな感情が混ざったまま、思い通りに事が進まないことに焦っていた。◆私の失礼な振る舞いにもその社長はゆったりと構えてくれた。◆20年が経った。15年前にその社長は定年で大商社を去っていた。業界内の会合や飲み会で、今でも時々彼の名前を耳にする。すこぶる評判がいい。私は若いころ彼に噛みついたことを誰にも話さなかった。恥ずかしくて話せなかったのだ。◆あの友人の取り計らいもあり、昨夜、その社長と食事をした。楽しくお酒を飲めた。大社長は穏やかだった。私の失礼を、なかったことのように振舞ってくれた。言葉を選び、決して偉ぶらない。今、私が業界内の若造に噛みつかれたら果たしてこの社長のように「活きのいいのが出てきたね」とばかりにゆったりと構えていられるのだろうか。まだまだ学ぶことが多い。◆「来年の春、またこの三人で飲みましょう」・・新しい師匠を得て私は上機嫌で帰宅した。

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2024年12月20日 ボスの
スケジュール
  • 午前虎の門病院屋上ヘリポート見学
  • 午後事業計画見直し
  • 夕方麻布十番某所で会食
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