◎2024年01月26日 ---- ボス ◎
- お相撲さん・猫・ダンプの運転手
-
福岡での浪人生活が半年たった頃、さすがに私も追い込みをかけ睡眠時間を削っていた。息抜きで、週に3回、喫茶店に入ってコーヒーを飲んでいた。『電車道』という名のその喫茶店は11月になるとお相撲さんで溢れるようになった。私と同い年のお相撲さんもいた。彼らは「僕らは寝るのと食うのが仕事」と言っていた。羨ましかった。◆留年して大学5年生の冬、卒業論文のための徹夜実験を隙間風の入る大学の研究室に泊まり込んで行っていた。私は野良猫を拾ってきて研究室で飼い始めた。私が実験をする脇でその猫はいつも毛布の上で気持ちよさそうに眠っていた。羨ましかった◆建設会社に就職して3年目の冬、私は足立区の梅島陸橋の近所で第4国道の地下に大型共同溝を造る工事の現場監督をしていた。朝7時から働いて翌日の午前10時まで、ぶっ通しで働く。夜勤は寒い、夜勤は眠たい、そしてたまに怪我をする。今で言うなら超ブラック企業になる。真面目に監督業をこなした。ダンプカーが積載している砂の量を測る。「13,5立米だね」などと言いながら研修票を運転手に渡すのだが、その時ほとんどの運転手は運転席の後方にあるベッドで寝ている。私は助手席で研修票を記入しながらほんの2~3分、目を閉じる。温かいダンプのベッドで寝ている運転手が羨ましかった。
- コメント (0)