◎2012年02月06日 ---- ボス ◎
- 写実画の限界
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一昨年秋、千葉市郊外に「ホキ美術館」という素晴らしい美術館がオープンした。展示しているのは写実画。日本を代表する画家たちの傑作が揃っている。展示している絵も素晴らしいが美術館自体、その建物が負けずに素晴らしい。設計は「日本設計(株)」ということだが日本人がこれほどのデザインの空間と建物を作ることができるようになったことに感動。とにかく素晴らしい。
私はこの1年間に3回訪問した。いつも感動。ただ・・・。
人物画を中心とした写実画。写真と見紛うばかり。凄い技巧。・・・ただ・・・。「この絵が好き!!この絵が欲しい!」と言うものが少ない。数百枚は展示している「ホキ美術館」の写実画の中で私が「この絵が欲しい!」と思うのは1点のみ。写真では絶対に撮ることができない1点。
たまたま昨夜のテレビで知ったのだが、現在の写実画はどうも精緻な技巧を競うところになっているようで、「いかに写真と同じに描くか」が最も重要なようだ。これでは心に響かない。技巧には感動するが魂に響いてこない。
「ホキ美術館」は私の最も好きな美術館の一つであることは今後も変わらないし、そこに展示されている写実画にも魅了されてはいるが、ある意味写実画の限界を感じることもある。写実画といっても、写真を撮りそれと全く同じものを描く技巧を競うものになってしまっては感動はなくなる。人物画であればモデルをデッサンするところから始まって欲しいし、風景ならカンバスを持って自然の中で描いて欲しいものだ。 - コメント (0)