2012年11月05日 ---- ボス

うそつき

boss-2

20年近く前の話だからそろそろオープンにしてもいいだろう。私は部下50名の航空事業部のトップになった。取締役航空事業部長という肩書。30歳代も半ばを過ぎたあたりだからまだまだとても若かった。世の中はバブルが崩壊したところ。ある日、三井物産関係の航空商社のM社長に呼ばれた。某役所の課長Nさんの天下りを引き受けてくれという。「本来なら当社が引き受けなければならないのだけど、この景気の問題もあり、それから親会社との関係もあり・・いろいろと複雑で・・」と歯切れが悪いながらも「とにかく引き受けてくれ」と言う。私は一つ条件を提示した。「来年の○○を当社に発注してくれるなら・・・」と。民間会社間の話だから談合でもなんでもない。その社長は私の条件を呑んだ。◆半年が経ち、約束通りNさんは私の会社に来た。ところがM社長と約束した仕事は「受注できそうにない」と部下からの報告。私はM社長を訪ねた。「約束が違うじゃないですか!」と。M社長はのらりくらりと交わす。そのとき彼が言った言葉を今も忘れない。「木下さん、私は『彼を引き受けてくれたらその仕事はきっとオタクが受注することになるでしょう』とは言いましたよ。でも『必ずオタクに発注する』とは言っていません。」というもの。◆「彼の方が役者が一枚上」という見方もあるだろう。「『生き馬の目を抜く』と言われる商社間の話。木下さんは甘い。」という指摘もあろう。だが、男として人間として、このようなウソ・詭弁を許すことはできない。狭い業界。先日、ある方の葬儀で80歳近くなったM社長を見かけた。向こうはこちらに会釈をしてきたが私は無視した。「つまらない男」と、いまだに軽蔑している。◆この欄で政治の話題はなるべく避けようとは思っているが、「辞める」と言って辞めない「鳩山議員」や「近いうちに解散」と言っておいて解散しない「野田内閣」の屁理屈を聞いていたら男として最低のM社長を思い出したので書いてみた。

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2024年04月19日 ボスの
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