◎2013年01月03日 ---- ボス ◎
- 大晦日
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毎年、大晦日になると思い出す情けないシーンがある。九大4年生の大晦日。卒業が間近に迫る同級生の殆どが帰省しているなか、私一人留年が決まり腐っていた。よく映らない白黒テレビで「紅白歌合戦」を見終えたあと、下宿近くの筥崎宮まで歩いていった。「今年は真面目に頑張りますからなんとか卒業させてください」とかお願いし、寂しく下宿に戻ろうと歩いていると映画館「日活劇場」の灯りが付いている。大晦日も元旦も関係なくロマンポルノが上映中。◆先ほど「今年は頑張ります」とか殊勝な顔して頭を下げた若き木下少年は誘惑に負け入ってしまった。年が明けてまだ30分も経っていない。チケットを買って入った劇場は上映前で明るかった。この瞬間の自己嫌悪を忘れない。「俺ってなんて情けないヤツなんだ!」・・恥ずかしかった。観客はまばら。「情けないヤツばかりだな」と思いながら見回していると知っている顔が・・。なんと月に一度くらいの割合で私の下宿に勧誘にきていた先輩。何の勧誘かというとキリスト教。「イエスを信じると、木下君、とても幸せになれますよ」と聖人君子のようなおもむきで語っていた大学院に通う先輩が座っていた。◆「武士の情け」とばかり私は気付かぬフリをした。やがて館内が暗くなりエロティックな映像と卑猥な声が覆った。◆毎年思い出す大晦日の情けない思い出。
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