◎2013年02月18日 ---- ボス ◎
- 画集
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大学生になり一人生活を始めると少し大きめのスチール製の本棚を買った。最初は教科書だけだったその本棚が卒業時には蔵書が入りきれなくなり、本棚の隣にも山積みになっていた。本棚の最下段の多くを画集が占めていた。ゴッホ、ピカソ、コロー、マネ、モネ・・・・。◆大学すぐそばだった私の部屋は毎日のように誰かが泊まっていた。大学から遠い自宅から通って来る、クラス仲間が多かったが、その辺の飲み屋でナンパした女子大生などもよく泊まっていた。たまに誰も遊びに来ない深夜、一人ウィスキー(サントリー角瓶)を飲みながら煙草を持つ手で画集をめくることは最高の喜びだった。大学生という肩書へのナルシシズムのようなものがあったのだろう。◆最もよくめくったのがパウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、ルネ・マグリットの画集。デザイン画と言っていいのか。ただ絵やデザインを眺め、煙草を吸い、酒を飲み、ジャズを聴くだけの時間。すごい贅沢。残念なことに絵を眺めるだけで解説文を読むことをしなかったので美術史を含め知識が乏しい。せっかくだからもう少し美術の勉強をすれば良かったと今ごろ後悔している。◆今、本屋にすら画集が少なくなった。殆どの学生が画集を手にしたことすらないのだろう。「美」に対する欲求やセンスが30年前の学生にくらべて低くなってきているようで寂しい。
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