2013年08月05日 ---- ボス

恩師

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当時、九州大工学部には私のいた土木工学科(1学年40名)の他、水工土木工学科(同40名)があった。3年生の時、私は怠惰な生活をして留年してしまった。一年遅れで4年生にはなれたがそれでも反省の薄い生活を続け、再度留年(2留)の危機にあった。卒業を間近に控えてもなお多くの必修科目の試験が残っていた。どの一つを落としても2留が確定する。多くの優しい友人と先生方が私の尻を叩き、なんとか無事に送り出してくれた。◆「測量2」という必修科目があった。追試、再試、再々試と合格点をとれず「2留決定」となりそうだったところ教授が「キノシタ、最後のチャンスをやろう。本当に最後のチャンスだからな」と言ってくれた。九州大学には工学部以外に農学部に「農業土木科」というのがあった。その農業土木科で「測量2」の試験があるから一緒に受けて良い、ということだった。「異例な措置だぞ」と念を押された。私は必死に勉強した。◆農業土木科に試験を受けに行った。広い教室に約10名の学生。もちろん一人も知った顔はない。不安。それでも前日に猛勉強したのでいくらかの自信はあった。そこへ問題用紙を持った試験監督が入ってきた。驚いた。私の所属する研究室の助手をしているMさんがその試験監督であった。◆問題は全部で5問。3問正解で合格、2問では不合格になる。卒業を賭けた大勝負。なんとか3問解いたが少し不安が残っていた。Mさんは試験監督として教室内をゆっくり歩きながら私の隣にくると立ち止まり、私の解答をチェックしてくれていた。そして不安の残る私の解答用紙の数式を指さしながら小さな声で「分母と分子が逆」と教えてくれた。ありがたい。私は急いで分母・分子を入れ替えて計算しなおした。これで3問正解だ。単位は取れた。ぬか喜びをしながら計算間違いなどがないかチェックをしていた。試験終了時刻の5分前くらいだったろうか、他の学生の答案用紙を眺めていたMさんが慌てた様子でこちらへ駆けてきた。私の横まで来るとMさんは再び小さな声で言った。「すまん、キノシタ。あれ、さっきの解答であっとる」と。 私は急いでまた書き直した。◆おかげでなんとか2留せずに卒業できた。今は九州の某大学で教授になっているMさんが上京されると当時の仲間が集まる。いつも私のこのエピソードで大爆笑。良い時代に良い仲間と良い先輩と良い指導者に恵まれた。感謝に尽きない。◆先週末、Mさんこと牧角先生と楽しく飲んだ。

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