◎2013年09月18日 ---- ボス ◎
- 役人からの10倍返し
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飛行機・ヘリコプターが原発上空を飛ぶことは原則禁止されていた。そのため日本の原子力発電所の敷地内にはこれまでヘリポートはなかった。飛べないのだから降りられない、あたりまえの話。それが福島原発事故のあと見直された。緊急時には飛んでもいいと。そして今、各電力会社はいざと言うときに備え原発敷地内にヘリポートを作ろうとしている。良い事だと思う。しかし日本には「原子力施設内ヘリポート」の基準がない。◆ヘリポートには複数のカテゴリがあるがどのカテゴリであろうが航空局の許可が必要。(法律文では「国土交通大臣の許可」) 例えば病院の屋上ヘリポートであればそれなりの厳しい設置基準がある。しかし原発ヘリポートには設置基準がない。基準がないなら許可しなければ良かろうものを実際には基準がないから最も緩い基準で許可を出している。いわゆる「臨時ヘリポート」の基準。農薬散布のための田んぼの中のヘリポートなどの基準である。ヘリポートの専門家としては看過できない。この状況に警鐘を鳴らそうとした。◆航空専門雑誌からの依頼もあり投稿文を書いた。「おかしくないか?原発ヘリポートと農薬散布ヘリポートが同じ基準!」というもの。投稿前に当社に在籍する航空局OBの顧問に読んでもらった。彼の意見を聞きたかった。◆彼の返答は・・・・。「これはマズイですよ。航空局の職員にケンカを売っているみたいですよ。彼らはなにも間違ったことはしていない。今ある基準の中で粛々と申請許可業務をこなしているだけ。なにも悪いことしてないんですよ。」といかにも役人の考え。「だからダメなんです!」という私に対し彼は穏やかに続けた。「社長の言いたいことはよく理解できます。我が社の利益のために言っているわけではないことも理解しています。しかし許認可権を持つ役人の世界の怖さを社長もご存じでしょ。彼らがヘソを曲げたら10倍返しされますよ。」というもの。◆かくして私は表現を穏やかに穏やかに訂正し、航空局におもねるような文章へと書きなおした。昨夜はよく眠れなかった。
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