2013年11月27日 ---- ボス

不思議なこと

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四半世紀も前の話である。30歳を少し過ぎ、長女が生まれたばかりの頃だった。故郷大分から中学校の同級生君が青雲の志をもって上京してきた。建設会社勤めを辞めたばかりのはその頃は自由になる時間が多かった。私が仲良くしていた会計士の君を加えて3人で遊ぶことが多かった。3人とも貧しかった。貧しいけど、不安だけど、3人が揃うと明るかった。いつも笑っていた。自分たちの置かれている状態を「貧乏神にコブラツイストをかけられている」と嘆きながら「どうやってこのコブラツイストをはずそうか」と笑顔で相談していた。◆そんなとき君が妙な話を聞きつけた。大分にすごい預言者がいる、というのである。その預言者が上京するから診てもらわないか、というのである。「貧乏神にかけられたコブラツイストのはずし方を教えてくれるかもしれない。診てもらおう。」君が真っ先に乗った。◆私の仕事仲間や君の友人なども含めて10名以上が診てもらった。その十数人のうち君と君そして私の仕事仲間のさんの4人に対しその預言者が「これを飲みなさい」とある薬(健康食品)を勧めた。半年間飲み続けろと言う。「飲めば重たい病気にならないし幸せになる」というのである。その健康食品は30万円以上もした。◆私は「右の腎臓付近に結石ができるぞ」と言われた。Sさんは「大腸の病気になる。」と言われた。その薬を飲めば大丈夫、というのである。今なら「霊感商法」などと問題になるかもしれない。君と君は病気の指摘はなかった。彼らはただ「貧乏神のコブラツイストをはずしたい」だけだった。貧乏のどん底にあった君、君はなんとかそのカネを工面して薬を購入し飲み続けた。なぜ当時、30万円を超えるカネを工面してその薬を飲み続けたのか分からない。不思議だ。◆4人のなかで最も裕福だったさんは「そんなバカなことがあるか!」と腹を立てた。もちろん薬の購入はしなかったし後々までその預言者のことを貶し続けていた。薬を飲み続ける私たち3人をバカにしていた。あの時の私が、今の50歳を超えた私なら、私もさんと同じ行動をとっただろう。だが当時私は若かった。貧乏から抜け出したかった。不思議だ。◆25年が経った。君は代官山に数億円の豪邸を建てた。君は石神井公園にこれまた豪邸を昨年構えた。君も君もお金持ちになった。私も貧乏神のコブラツイストをなんとかはずすことができた。そして私は6年前に右の尿道結石で苦しみ救急車で運ばれていた。幸い大事にならなかった。◆さんとは20年以上連絡をとっていない。◆先日、「あのとき、あんな貧乏だったのによく30万円もの大金を工面し、あんな薬を飲んだなあ」などと君と話していた。ふとさんはどうしているのだろうか、と思ってインターネットで検索してみた。驚いた。さんは自分の得意分野で成功を収めてはいたが長い闘病生活の後、4年前に大腸がんで亡くなっていた。怖くなった。◆全部、あの預言者の予言どおりに動いている。不思議な不思議な、本当の話である。その預言者はまだ大分に健在であるが私はあれ以来お会いしていない。

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2024年12月20日 ボスの
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  • 午前虎の門病院屋上ヘリポート見学
  • 午後事業計画見直し
  • 夕方麻布十番某所で会食
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