◎2014年02月21日 ---- ボス ◎
- 頭の良し悪しと、人間の良し悪し
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通勤電車の中では小説を読むことにしている。今朝は山本文緒の『なぎさ』を読んでいた。登場人物の一人が「頭の良し悪しと、人間の良し悪しとは別問題で(中略)どちらかというと反比例する。」と思うところがある。ちょうど、そこを読んでいるときに電車内で赤ん坊が大きな声で泣きだした。◆少し混み始めてはいたが通勤ラッシュ前の日比谷線、目をやると私が立っているところから泣いている赤ん坊が見えた。母親は周囲に申し訳なさそうに頭を下げ懸命に赤ん坊をあやしている。私は目を本に戻した。◆隣から「チェッ」と言う舌打ち音が聞こえる。「っせえなあ」と小さな声でつぶやく声。また「チェッ」という舌打ち音。赤ん坊の声が大きくなるとこの舌打ち音が聞こえる。見ると日経新聞を読んでいる男。いわゆるエリートサラリーマンぽい身なり。「うるさくて日経読んでも頭に入らないじゃないか!」と怒っている様子。舌打ちを繰り返しながら不愉快そうに何度も赤ん坊の方を見ている。◆どうしても我慢できないなら隣の車両へでも自分が移動すれば良い。車両内での移動もできる。それほど混んではいないのだから。だがこの男は日経新聞と赤ん坊の方とに交互に目を移しながら舌打ちを繰り返すだけ。私には赤ん坊の泣き声よりもこの男の舌打ち音の方がよほどうるさく感じた。◆彼がどの程度、アタマが良いのかは分からないが私は再び「頭の良し悪しと、人間の良し悪しとは別問題で・・」というところから本を読み返した。
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