◎2014年05月28日 ---- ボス ◎
- 熱くならない
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年齢のせいなのだろうか、最近、なにかに熱中するということがなくなった。死にもの狂いで何かを「追いかける」「取りに行く」「やっつける」「極める」、そんなことがなくなった。仕事でもプライベートでも。そんな話を友人にした。すると彼は「キノシタ君はそんなこと思っているの? 僕なんか、そもそもこれまでの人生でなにかに『死にもの狂い』なんて感情を抱いた記憶がないよ。勉強も運動も仕事も恋愛も。いろんなことに熱くなることができたキノシタ君は恵まれているんだと思うよ」と言われた。◆そうかもしれない。きっとそうなんだろう。いろんなことに熱くなることができた。恵まれていた。今を満足しよう。そう考え始めていた。◆先日、銀座のあるバーに久しぶりに顔を出してみた。半年ぶりに会ったカウンターの向こうの彼女はニコニコしながらいろんな話をした。普通は銀座の女性は客の話の聞き役になる。ところがこの日の彼女は饒舌で私がもっぱら聞き役に回っていた。◆ふと、彼女の口が止まった。そして彼女は私の目を見ながらゆっくりと言った。「キノちゃん、あなた最近、ギラギラしたところがなくなったわね。少し枯れかけてきたのかしら。ギラギラしていた男が、そのギラギラ感がなくなった時が一番魅力的なのよ。あなた今とっても素敵よ」と。◆それを聞いてとても嬉しくなった。少し熱くなった。死にもの狂いにはなれないが。
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