2014年06月12日 ---- ボス

出張続き

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日曜日(8日)イタリアから帰国し会社へ直行。出張中に溜まったメールや郵便のチェックをするだけで随分と時間を取られた。そして翌9日、福岡へ一泊出張に飛んだ。福岡行きのANAのプレミアムシートに座ったのは午後1時50分頃だった。CAに上着を預け、村上春樹の新作『女のいない男たち』を読み始めた。何ページも読み進まないうちに猛烈な睡魔が襲ってきた。イタリア帰りの時差ボケの影響か。すぐに深い眠りに落ちた。機内放送の声で目が覚めたときは2時30分を回っていた。どの辺を飛んでいるのかな、と外を見るとすぐそこに羽田のターミナルが。まだ離陸していなかった。機内放送は、機体の整備に時間がかかっているのでもう少し待って欲しいと告げていた。◆結局、その機体は整備が間に合わず別の機体に乗り換えることとなった。機体を降り、バスで遠くのターミナルへ移動することになった。2時出発予定のフライトが3時40分発に変わった。100分遅れ。15年ほど前だったろうか、私が乗った機体が大分空港を離陸し20分程度飛行した後、エンジントラブルの発生により大分空港に引き返すということがあった。今回はあの時以来のトラブルだ。◆空を飛ぶものに事故があってはならない。心配な箇所を抱えたまま飛行してはならない。離陸した飛行機が引き返すことも、乗客が搭乗した後に整備調整の遅れで機体を乗り換えることがあってもしかたない。だれも苦情を言う者はいなかった。「落ちるよりはいいや。ね?」という男性の声が後ろから聞こえてきた。ANAのCAは丁寧に頭を下げ「申し訳ありません」を繰り返していた。◆バスに乗り新しいゲートに移動したところであの村上春樹の新刊を座席に置き忘れてきたことに気付いた。今更戻ることもできない。諦めた。千数百円の本、まだほとんど読んでいない。悔しいけど諦めた。諦めながらも、実は微かな望みも持っていた。「今日の飛行機はANAのプレミアムだ。これがJALならまず無理だがANAだから・・、プレミアムだから・・、ひょっとすると・・・」◆新しい機体に乗り込んだ。果たして、先ほど「申し訳ありません」を繰り返していた優しそうな顔をしたCAが私の席に来て村上春樹を差し出した。「これキノシタさま、先ほど読んでらっしゃいましたよね」と笑顔で言った。とても嬉しくなった。◆機体の故障はしようがない。腹も立たない。本を持ってきてくれたことは予想外の喜びになった。旅行や出張は楽しい思い出をいろんな形で提供してくれる。

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2024年03月28日 ボスの
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  • 午前来期事業計画
  • 午後新組織図の確認
  • 夕方広尾「ジャスミン」にて会食
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