◎2014年07月23日 ---- ボス ◎
- 「私」「俺」「僕」
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学生時代は自分のことを「オレ」と呼んでいた。恐らく先生方の前でも「オレは・・・」と話していたのだと思う。大学を卒業しゼネコンに就職してからも「オレ」であった。上司に対しても「オレは・・・」と話していた。誰もそれを注意してくれなかった。◆30歳で会社を辞めた。新しい仕事を始めた。「オレ」の回りにいるのは商社の人、政界の人、証券会社の人、画廊のオーナー、投資会社の人たちに変わった。ふと気づくと自分のことを「オレ」と呼んでいるのは「私」一人だけだった。誰に注意されたわけでもなかったが、その事実に気付いた時にとても自分のことを恥ずかしく思ったことを覚えている。それ以来、少なくとも年長者の前では「オレ」と言わないように心掛けている。◆60歳近くになって回りを見ると、自分のことを「オレ」と呼んでいる男たちはみな出世していない。「我が道を行く」というプラス面よりも「観察眼がない」「礼儀知らず」というマイナス面の方がはるかに強い。私の知る限り、知的そうな感じなのに自分のことを「オレ」と呼び続けているのは俳優の中村雅俊、ただ一人。◆酒の席で友人たちと「僕・オレ」論になった。「僕」はこの「我が道を行く」中村雅俊という俳優が嫌い。「私」がそういうと、「オレ」も全く同じ考え、中村雅俊の「オレ」は気に食わないと一人が返した。すると「オレも嫌い」「オレも中村雅俊の『オレ』が嫌い」と多くの「オレ」が答えた。◆楽しい仲間たちとの酒の席での会話は「オレ」が一番気楽でいい。
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