2014年09月30日 ---- ボス

海賊とよばれた男

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遅ればせながら昨年の本屋大賞『海賊とよばれた男』(百田尚樹)を読んだ。面白い。さすが本屋大賞受賞作。相変わらず百田の文章はプロの物書きとしては冗長でだらしないのだがストーリーテラーとしては天才的。読み手をぐいぐいと物語の中へ引き込む。緻密綿密な取材によって出光興産の創始者出光佐三(主人公:国岡鐵造)の、熱い男としての生きざまを生き生きと伝えてくれる。◆縁ある人に応援され、若くして起業し、幾つもの苦難にぶつかり、それらを必死に乗り越えようとし、もうダメかと思ったその都度また誰かに助けられる。私にはまさに自分のことのように鐵造の思いが伝わってきた。思いが伝わるというよりも私が体験したかつての同じような状況を思い出していた。◆鐵造の息子昭一は都立一校に学んでいたが志望する大学に入ることができず二浪してしまう。『鐵造は、半分は自分のせいだと思った。・・ただひたすら国岡商店を立て直すため、店員たちを食わせるためだけに死に物狂いで奔走した日々だった。家族に目を向ける余裕はなかったし、家で寝ていてもうなされることはしょっちゅうだった。そんな父を目の当たりにしている息子に、勉学に身を入れろと言うほうが難しい』・・・・・私は読みながら「ああ、これもオレと全くおんなじだ」と、我が息子の二浪が確定した日を思い出していた。◆本筋とはずれるのだがエンターテナー百田が読者に面白いプレゼントをしていることに気付いた人は少ないだろう。映画で時々使われる演出を彼はこの小説でためしている。あの『永遠の0』の主人公「宮部」をちらっと登場させているのである。さてこの『海賊とよばれた男』が映画化されたとき岡田准一クンがちらっと出演するのだろう。◆残念に思うのはこの大変大変面白い小説の題名。なぜ「海賊とよばれた男」などとセンスないタイトルにしたのか私には理解できない。もったいない。

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