2015年02月20日 ---- ボス

肩の荷

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慶応大学経済学部三年生の息子に先日、就職を希望していた会社から内定の通知が届いた。ささやかなお祝いをしてあげた。息子へのお祝いの形を取っていたが実は自分へのねぎらいの会食でもあった。「やっとここまできた。親として合格点を取った」と安堵した。◆息子が幼稚園に通っている頃「エアロファシリティー株式会社」を創業した。野心を持って設立したわけではない。そうするしかなかったのでやむを得ず、恐る恐る起業した。起業時に出資してくれた会社はあったが「出資金以外は一銭も資金援助をしない」ということが条件でもあった。建設会社であり商社である当社は運転資金が不足し、常に多額の借入金があった。そしてそれらの借入金は全額私の個人保証が付いていた。会社の借入金の連帯保証人になるわけだ。会社経営が計画通りに進まず倒産した場合には私個人に莫大な借金が残る。そうなれば娘、息子の進学を諦めてもらわなければならない。教育に関してだけは彼らの希望を叶えてあげたい、と思っていた。会社が潰れてしまうと家族4人が暮らすマンションも人手に渡り、子供たちも学校に行けなくなる。◆私より少し後に独立した高校・大学の先輩Kさんは事業が上手くいかず「子供を大学に進学させるため」「今住んでいる自宅を追われないため」と自殺の道を選んだ。彼が自死することにより借金は消え、保険金により家族は自宅を手放さずに生活を続けることができた。その後、子供は無事に大学を卒業した。Kさんのような自死された経営者を私は数人知っている。もちろん、そうなりたくなかった。◆死ぬ気で働いた。部下たちに迷惑もかけた。みな、頑張ってくれた。◆それでも何度か「自殺」を考えたことがあった。ある部下に裏切られ、大金を投入した商権を持って逃げられたとき。銀行に裏切られ、突然融資を断られたとき。「ああ、俺は自殺することになるのかなあ」そう思った。幸い、いつもギリギリのところで誰かが助けてくれた。部下たちも必死で頑張ってくれた。会社は徐々に大きくなった。借入金よりも剰余金の方がはるかに大きくなった。◆息子の就職の内定が出た。もう放っておいても大丈夫、自分でなんとかするだろう。親としての責任は十分に果たした。合格点。◆親としての責任は果たしたな、と楽になった気持ちで回りを見回すといつのまにか我が社の社員は30人を超えていた。彼らの家族を守らなくてはならない。我が社の社員たちには小学生以下の子供が併せて10人もいる。子供のいないYクンが先日、嬉しそうにやってきて「社長、お陰様でやっと家内が妊娠しました」と伝えてくれた。◆息子の内定などで一息ついているほどのんびりできそうにない。肩の荷はまだまだ降ろせないのか。

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