◎2015年05月07日 ---- ボス ◎
- 許せない! 「30年後のことなんか知らない」
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2012年12月、中央自動車道の笹子トンネルでコンクリート製の天井版が崩落し、男女9人が死亡した。マスコミは「管理体制の不備」と決めつけた。責められるNEXCO中日本(旧道路公団)も素直に「管理体制の不備」を認め謝罪した。私は「管理体制以前の問題」をなぜマスコミは追及しないのか、「設計の不備」となぜNEXCOは言わないのかと残念に思った。◆大学でコンクリート工学を勉強した者なら少し考えれば「あの設計は危ない。将来、大事故が起こるかも知れない」と気付いたはずだ。私のようにまともに『コンクリート工学』の単位を取得していない者でも気付くのだから。◆コンクリートは「非常に重たく」「経年劣化が激しく」「メンテナンスが難しく」「劣化した場所を発見しにくく」「金属との相性が悪く」そして「繰り返しの衝撃荷重に弱い」ものなのだ。床材や壁材には向いているが、金属で上から吊る構造には適さない。設計の段階で「これの管理は難しいな」と気付いていないなら彼はバカだ。「メンテナンスをしっかりやってくれれば事故は起きないだろう」という考えだったのならその設計はあまりにも無責任だ。設計者の心の中には恐らく「30年後にはまずい状態になるかもしれない。でも30年間は持つだろう」との甘えた考えがあったに違いない。今更ながら腹が立つ◆病院の屋上ヘリポートを造る会社のトップとして「コンクリートは繰り返し衝撃荷重に弱いのでヘリポートはアルミデッキで」と訴えている。しかしながらなかなか受け入れられない。数年前、ある関西のゼネコンの所長が私に言った言葉が忘れられない。「私はこの現場が終わったら定年退職なの。30年後のことなんか知らんがな」◆このような設計者、施工者が多いから今年も「ビルの看板落下事故」などが相次いでいる。
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