◎2015年06月03日 ---- ボス ◎
- 客は黙って去って行く(2)
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この欄で私は何度も繰り返しているが「選挙権年齢の18歳への引き下げ」には反対である。現代の我が国の18歳の多くは未就労者であり税金を納めていない。政治とまともに向き合う環境になく、ノンポリの学生ばかりである。親や教師のちょっとしたアドバイスによって自分の考えがぶれる。彼らに選挙権を与えるのは速すぎる。◆しかし今日もあるテレビでは複数の低開発国を例にあげ「これらの国では選挙権は16歳からです」などとくだらぬ情報を伝えていた。当たり前だ、低開発国の18歳は皆、働いている。政治を考えている。モラトリアムなどと言っていられない。超先進国となった我が国、平均年齢が80歳を超えている我が国と比較するな!◆最近、国会議員と話をする機会が何度かあった。私は彼らに聞いた。「なんで選挙権年齢を18歳に引き下げることにあなたの党は賛成するの?彼らはまだ政治のことなんて考えてないでしょ?」と。◆自民党の代議士は私に小声でこう答えた。「キノシタさん、意外に思われるかもしれませんがね、最近の選挙結果を分析すると20歳代は男女とも自民党票が多いのですよ。20歳代が自民党ということは18・19はさらに自民党票が多いのですよ」と。◆別の日に同じ質問を民主党の議員にした。彼はこう答えた。「憲法改悪には反対でしょ。戦争反対でしょ。若い世代は戦争反対なのですよ。60年代70年代、多くの若者が『安保反対』と頑張ったでしょ」◆再び自民党の議員に出会った。先ほどとは別の自民党議員である。「憲法改正には若者の多くが反対するんじゃないの?」私は尋ねた。彼はこう答えた。「だからね、実際に彼らが選挙権を行使するようになる前に、憲法改正を今国会で方向付けなきゃならないのですよ」◆私の予想したとおり。「18歳に選挙権を与える真の意義」など考えている立法府の人間なんてだれもいない。彼らは選挙権年齢を引き下げると自分にとってプラスなのかマイナスなのかを考えているだけ。そして彼らのホンネは「選挙権年齢引き下げに今反対したら我が党のイメージが悪くなる。ここは賛成しておいた方が良い」ということのようだ。◆客は黙って去って行く。こんなことではまともな大人は選挙へ行くことが馬鹿らしく思えてくる。私も、焦点の呆けた候補者には誰にも投票したくない。投票率はさらに下がり続けるのだろう。
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