◎2015年06月18日 ---- ボス ◎
- プライバシー
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先週、誕生日を迎え58歳になった。娘が「父さんの誕生祝いをしてあげる」と近所のレストランを予約してくれていた。久しぶりに一家4人での外食を楽しむことになった。◆美味しい酒と食事を楽しんでいた。話題はいろんな方面へ飛んだ。私の健康、息子の就職、老後の心配などなど。楽しかった。話題の中心が娘に移った。結婚を控えた友人が複数いるようだ。家人が思い出したように聞いた。「そういえばA子ちゃんはどうしてるの?」。聞かれて娘の顔が曇った。「A子、大変なのよ。お父さんの浮気がばれて家庭内がボロボロだって」。聞いた家人の顔も曇った。「へえ、どうしたの?」聞きながら家人が私の顔をチラッと見た、気がした。叩かれてもなんの埃も出ない私だがなぜか心中穏やかではない。娘が続けた。「その浮気を見つけたのがA子なのよ。A子がお父さんのスマホを見てて浮気を発見したんだって。A子とお父さん、それまでは仲良かったんだけど今はもう大嫌いなんだって。顔も見たくないって、A子とお母さんは一緒に家を出てるみたいなの」◆「人のケータイなんて見るもんじゃないよね。今はよく分かるよ。」それまで黙って聞いていた大学4年生の息子が話に加わってきた。「オレが中学生の頃、ネーチャンのケータイを覗いていたら、父さんが『人のケータイを覗いたりするなっ!』ってひどく怒りだしたんだよ。オレ、『なんでそんなに叱られるんだ?』って不思議だったんだよね。でも、そういうことなんだよね、今は分かるな」・・息子はそう言いながら私を見てニヤッと笑った、気がした。「いらんことを言うな!」私は小さな声で息子を一括した。いや、一括したかったができなかった。◆だが、いつの間にか息子は「浮気をした父が悪いのではなく、ケータイを覗いた娘が悪い」という方向へ話題を誘導していた。家人も娘も「そうよね。人のケータイ覗いてなにもいいことないよね。」と言っている。叩かれても、叩かれても、なんのホコリも出ない私だが心が穏やかになっていくのを感じていた。そして自分の不用意な発言を上手に修正する技術を覚えた息子を少し頼もしく思った。「これならヤツも社会人になっても大丈夫かもしれない」、そんなことを思いながら楽しく酒を飲んでいた。
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