2015年07月13日 ---- ボス

いじめ自殺の報道の仕方

boss-5

中学生が虐(いじ)められ、自殺した。◆悪いヤツばかり。虐めた連中がもちろん悪い。人を虐めるような子を育てる親が悪い。自分の子が虐めっ子であることに気付かないバカ親が多い。自殺をほのめかす文をノートに書き提出していたのにそれを無視した担任教師が悪い。そのような担任を満足に指導できず、テレビのインタビューにも顔を出さない校長も悪い。「自分の息子は被害者だ」とばかりに担任を攻めるオヤジも悪い。子供の気持ちに思いを至らせず、離婚し、自分のの都合で三人の兄妹を離れ離れにしてしまった母親も悪い。近くで同級生が虐められているのにそれを止めようとせず、今頃になって「虐められていました。可愛そうでした」などと、のうのうと語るバカ同級生も悪い。そんな正義感のない子供を育てた親が悪い。悪い、悪い、悪い!バカばかり。◆そんな悪いヤツばかりなのに、彼らの多くが、ほんの少ししか「自分が悪かった」とは思っていない。みんな誰かほかの者のせいにする。だれか一人でもまともであれば、彼は自殺しなかったのに・・・。繰り返す。自殺した子の回りの誰か一人でもまともであれば、彼は自殺をせずに済んだのだ。なのにマスコミは、視聴率が取れるからその中の一人である「担任教師」ばかりを攻める。視聴者も「そうだ、そうだ、この担任はひどい」と言う。「この自殺した子は本当にかわいそう」と言う。◆そろそろマスコミの報道姿勢を改めるべき時期ではないだろうか?子供が虐められて自殺すればマスコミは「かわいそうに!」を連発する。悪い者探しをしてテレビで懲らしめる。自殺した子供は「無口で優しい良い子でした」となる。自殺した子をヒーローにまつりあげる。◆いじめが原因で自殺する子供は、皆、本当に、その虐めにどうしても耐えられなくて、「死」を選ぶしか方法がなくて、死ぬのだろうか? 「そうじゃないんじゃない?」と誰も思わないのだろうか?・・・・私は疑っている。◆マスコミの報道姿勢が、虐め自殺を増やしているのではないだろうか?虐められている子は自殺すれば、虐めっ子に仕返しができる。マスコミがお仕置きしてくれる。虐められている子は自殺すればヒーローになれる。「無口で優しい良い子でした」と伝えてもらい、日本中の視聴者が悲しんでくれる。自分に対して無関心だった親も、自分が死ねば、虐めっ子に対して腹を立ててくれる。子供のために初めて闘ってくれる◆「死の恐怖」だけを乗り越えてしまえば、虐められっ子にとっては最高の状況が得られるのだ。これでは虐められっこは「死」を選びたくなる。少なくとも、自分の行動の選択肢に「自殺」を加えることになる。「自殺すれば、あいつらに仕返しできる」と思ってしまう。◆マスコミが冷静に対応すれば「虐め自殺の連鎖」「自殺による虐めっ子への報復」はなくなるのに・・・、と思っているのは私だけではなかろう。

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