2015年09月16日 ---- ボス

転職

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忙しい。人手が足りない。人材が十分でないので3年後、5年後のイメージがなかなか具体的にならない。そこで当社は常に中途採用者を募集している。私も月に2~3人を面接することになる。転職を希望して当社の門を叩いてくるのは30歳代前半の方が多い。現在勤めている会社に不満があったり不安があったり。そんな彼らに私は決まって同じことをアドバイスする。「過去と途切れてはダメ。過去を捨ててはダメ。」と。◆昭和63年、私は新卒で採用され6年間お世話になった前田建設工業を辞めた。随分と身勝手な辞め方だった。もちろん私なりにいろいろと事情もあり、苦しみもした。1年間以上悩み、決断した転職であった。後に副社長にまでなる当時の私の上司、川嶋課長(当時)には特に強く慰留された。それでも私の決意は翻らなかった。◆九州大学出身の土木技術者。前田建設は新卒の私を期待を込めて厳しく指導してくれた。橋梁・護岸・上下水道・共同溝・道路・・・いわゆる「都市土木」と言われるすべての工事を経験させた。頭でっかちの、いいかげんな学生が、6年間鍛えられやっと一人前になろうとするときに彼が「辞める」と言い出したのだ。上司としても、会社としても面白いはずがない。◆実は当時の私には「上司や会社に迷惑をかける」という意識が希薄だったのかもしれない。それよりも「できる限りのことは一所懸命にやった。身も心も前田建設工業に捧げた6年間だった」との意識が強かったように思う。今思うとまったくの世間知らずであった。◆誰にアドバイスを受けたわけではないのだが、ここからの私が偉かった。上司の慰留も聞かず自分勝手に辞めておきながら、そういうことは全く気にせず、上司や先輩や同僚とコンタクトを取り続けたのだ。そんな私に対して前田建設工業の皆さんは、飲み会の予定が決まると「オマエも来ない?」と誘ってくれた。おかげで私は新卒から6年間を必死に働いた前田建設工業での経験や人脈を「過去のもの」と切り捨てることなく「私の大切な大切な宝物」にすることができた。腹の中に計算があったわけではない。ただせっかく出会った「魅力的な人」「優しい人」「仕事のできる人」とは繋がっていたい、というような感情があったのだろう。◆そしてその「私の大切な大切な宝物」は数十年後、何十倍、何百倍にも大きな宝物になった。◆私は身を持って体験したことを、いま居る会社を辞めて「御社にお世話になりたい」と頭を下げる若者たちに必ず話している。私のアドバイスが無ければ、彼らはきっと今お世話になっている会社や先輩との縁を切ってしまいそうだから。

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