2015年09月25日 ---- ボス

いくら言ってもわからない

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20年前に一人でラーメン屋を開業した。一人で試行錯誤して美味しい味を見つけ出し、店の場所を探し、不動産屋と交渉した。開業資金がないので綿密な事業計画書を作成し、銀行に持ち込んだ。メニューを決め、店の内装を決め、掃除をし、看板を作り、ビラを撒き、客を待った。開業し、徐々に客は増えたがなかなか利益は上がらない。少し蓄えができるとすべてを新しいレシピ作成に回していた。そうして20年が経った。今では「日本で一番美味しいラーメン」「カラダに害のない、安全な素材のラーメン」「とても安いラーメン」との自信を持っている。◆ラーメン屋は大きくなった。かつては私一人でやっていたことを、多くの部下にやってもらうようにした。世代交代が必要だ。私はまじめな彼らに責任と権限を委譲しようと試みた。◆ラーメン屋は銀座の大きなビルの中に移転した。多くの客が来るだろうと準備した。「レシピを考える係」「実際にラーメンを作る係」「会計係」「銀行担当係」「掃除係」などがそれぞれ、自分の担当部署を一所懸命に頑張った。だが売り上げも利益も当初予想を大きく下回った。ずっと一人でやってきた私には原因は見えている。ずっと我慢していたが、とうとう見かねて注意をした。「いくら美味しいラーメンでも、いくら安全なラーメンでも、いくら安いラーメンでも、いくら都心に店を構えても、いくら大きな店であっても、いくら店がキレイでも、いくら笑顔で接客しても、それだけじゃ客は来ないよ。・・・それだけで客が来ると思っているんじゃないか?」◆「どれだけの通行人が『銀座〇丁目の〇〇ビルの〇階に美味しいラーメン屋がオープンした』と知っているんだ?」・・・・「いくら美味しいラーメンでも、いくら安全なラーメンでも、いくら安いラーメンでも、いくら都心に店を構えても、いくら大きな店であっても、いくら店がキレイでも、いくら笑顔で接客しても・・・・・客が知らなきゃ来ないでしょ!」◆私は「ビラと看板を大至急用意しろ!」と命じた。2か月経った。売り上げも利益も増えない。私は責任者に問い質した。「ビラと看板はどうなったんだ?」・・・・責任者は申し訳なさそうに答えた。「社長から注意されたので、すぐにデザイン会社にビラと看板を発注しました」◆不思議に思って私はさらに問い質した。「そのビラと看板は?」・・・責任者は笑顔で答えた。「ええ、なかなか素敵なデザインのビラと看板がすぐに届きました。社長も見ますか?私のデスクの後ろにおいていますよ」

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