◎2016年01月27日 ---- ボス ◎
- トランプ支持者の心理
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昨日、朝のこと。出勤のため広尾駅から電車に乗ったが一向に発車しない。構内放送が「銀座駅で発煙があったため運転を見合わせています」と言っている。「どうしようかな、自宅に戻ってクルマで出勤しようかな?」などと思っていたら「間もなく部分運転を再開します」との放送が流れた。私は吊革をつかみ、じっと運転再開を待った。車内を見回すと多くの者がスマホをいじっている。私の前にはアラブ系と思われる若者が立っていた。「彼はイスラム教徒だろうな。ISのおかげで彼も不愉快な思いをすることが多くなっただろうな」などと彼を見ながら思っていた。彼もスマホをいじっていた。覗くともなく彼のスマホの画面を見た。かなり大きなアラビア文字が並んでいた。彼がスマホから顔を上げた。深刻そうな、悲しそうな顔に見えた。彼は黒いコートを着ていたが若いのにまるで妊婦のように腹が膨らんでいる。右手でスマホを持ち、左手はコートを前を押さえている。私は不安になった。「このコートの下に、爆弾を腹に巻いているんじゃないだろうか」◆「まもなく運転を再開します」車内放送はさっきから繰り返している。ドアはまだ開いたままだ。私はそっと、それでも急いで電車を降りた。ホームを急ぎ3両後ろの車両に再び乗った。「ここまでくれば安全だろう」そんなことを思っていた。電車は静かに動き出した。もちろん爆発は起こらなかった。あのアラブ人の青年は普通の健全な青年であったのだろう。彼に気付かれてはいないだろうが申し訳ないことをした。◆昨夜、大学時代の同級生、友池クンと飲んだ。彼とは米国のルート66を全行程、二人で旅した仲だ。朝の電車の話をした。「キノシタ君、あんたは経営者だ。守らんといかん従業員やその家族も多い。小さな危機を察知し、相手を傷つけることなくその危機を回避した。それでいいんよ。立派な行動よ」と褒めてくれた。少し楽になった。◆アメリカ大統領選挙に共和党から出馬しているトランプは「イスラム教徒の排除」を声高らかに叫ぶ。道徳的な私はトランプのことを「とんでもないオトコ」と思う。だが一方、昨日の私のとった思考や行動は、トランプの主張に通ずるものなのかもしれない。私は決してトランプを支持しない。だが確実に、善良な市民の心まで、不気味なISの行動は蝕み始めている。
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