◎2016年03月22日 ---- ボス ◎
- 「正しい」ことを「正しい」と言わせる社会って?
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小学生の頃、同級生から「キノミ」と呼ばれていた。「キノシタモトミ」から来たあだ名。60歳近くなった今でも、故郷で小学校時代の同級生と会うと「おおキノミ!帰ってるん?」などと声を掛けられることがある。私に限らず多くの友人たちが何らかのあだ名で呼ばれていた。清松君は「キヨ」、高司君は「ターニイ」、猫好きの小山君は「ねこさん」。みんないまだにそのあだ名で呼ばれている。4年生か5年生の頃、「学級会」だったか「社会」の時間か、或いは「道徳」の時間だったのか、担任の教師が「あだ名」に関して話し始めた。「人を 『あだ名』で呼ぶことは良いことか、悪いことか」というようなテーマを振ってきた。教師が指名して生徒に発言させる。「ちゃんとした名前があるのに、あだ名で呼ぶのはおかしいと思います」誰かが言った。次に私が指名された。「僕は『キノミ』と呼ばれているけど全然イヤじゃないです」そんなことを言った。次に指名された者が「でも、私たちがあだ名で呼んでいると2年生や3年生もマネしてあだ名で呼ぶようになるかもしれません。やっぱりあだ名はよくないと思います」とおりこうさんな発言をした。クラスの殆どの者が「さんせーい」と言った。教師の前ではみんな「おりこうさん」になっていた。私はそれ以上言わなかった。あだ名で呼ぶ習慣はその後も続いた。◆「ベッキーの不倫」も「プロ野球声出し係の小銭の賭け」も「中学校長の『女性はキャリアより子供を産む方が大切』発言」も、多くの人々を苦しめたわけでも迷惑をかけたわけでもない。だが彼らの行動や発言に対して、先生が「どう思いますか?」と振れば、「それは間違っています。だって他の人がマネするかもしれないでしょ」と小学生みたいに答える輩が大勢いる。もちろん正論。正しい考え。◆「ベッキーは悪い」「少額でも賭けは賭け」「中学生に向かって校長が発言すべきことじゃない」・・・そりゃ、そうです。分かっていますよ。◆だが・・・・。何だかな・・・。 「あだ名で人を呼ぶことは良いことですか?」そう問われた小学生のように「悪いことでーす」と答えるアタマの悪い市民のなんと多いことか・・天邪鬼な私はそう思ってしまう。そして「マスコミが大騒ぎするような問題じゃないじゃない!くだらん!」と私は言う。◆私の思いと異なり、世の中には「おりこんさん」ばかりのようだ。自分たちが騒いで問題を大きくしておいて、自分たちが傷つけておいて、それでいて「不倫された奥さんがかわいそうです」「賭けをマネする人が出てくるかもしれません」「中学生でも『私は結婚せずにキャリアウーマンを目指す』と思っている子がいるかもしれません」・・・当事者よりも自分のアタマで考えない「おりこうさん」な外野ばかりが騒いでいる。マスコミがその騒ぎを煽っている。
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