2016年05月15日 ---- ボス

映画「セッション」と・・・

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若きジャズドラマーが、理不尽なほどに厳しい指導者にしごかれ、それに耐え成長していく様を描く「セッション」と言う映画がある。映画としてはとても面白い。「Yahoo!映画」では「4.18」と高得点を取っている。映画の中で「才能のない奴はロックをやれ!」との貼り紙がアップになる。映画を見ながら「同感!」「厳しい!」などと思った。一流のジャズミュージシャンになるのは努力だけでは無理だ。努力の前に、豊かな才能に恵まれて産まれ、育ってきたことが大切。その十分な才能に恵まれた、選ばれた連中の中で、さらに厳しい努力競争に勝ち抜いたものだけが世界的な名声と富を得る。そしてそこにたどり着くには「厳しい指導者」と巡り合う幸運が必要。「厳しい指導者」から逃げない懸命さ、ひたむきさが必要。いろいろと教えられる、音楽好きには堪らない魅力ある映画である。◆私には多くのジャズミュージシャンの友人がいる。彼らは皆、この映画「セッション」を観ている。そして私が聞いた限りでは、彼らは誰一人としてあの「理不尽なほどに厳しい指導者」を肯定しない。「あんな指導者だったら僕はとっくにジャズを辞めてますよ。あんな指導には誰も着いていきませんよ。」と言う。私もそう思っていた。「映画の中の世界」だと思っていた。しかし・・・。◆12日、世界的な演出家の蜷川幸雄さんが亡くなった。もちろん彼の演技指導が厳しいことは従前より知っていた。私は好きではなかった。もし私が演劇を目指す青年だったとしたら絶対に彼のような指導者には着いて行けない。そう思っていた。◆今回、蜷川さんの死を多くの演劇関係の方々が心から惜しんでいる様子が報じられた。一流の役者さんたちが涙を流した。彼の死を報じる番組の中で、改めて彼の厳しい指導風景が流れた。私は気づいた。「あっ、蜷川さんの指導はあの映画『セッション』の鬼教官の指導と同じだ。いや『セッション』の鬼教官の指導が蜷川さんの指導と同じなのだ」と。◆理不尽なほどに厳しい指導者がいなくなった。そして私も丸くなっている。

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