◎2016年06月06日 ---- ボス ◎
- イケメン
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少し遅くなったが横山秀雄の『64(ロクヨン)』を読んだ。2012年「週刊文春ミステリーベスト10」及び「このミステリーがすごい!」で第1位に。また、第10回本屋大賞及び『ミステリが読みたい!』で第2位となった作品。単行本(ハードカバー)で購入し何度かトライしたもののいつも30ページ目あたりで挫折していた。先月友人が「まあまあ面白かったですよ。良かったら」と文庫本上下2冊を置いていってくれた。映画化され近く公開されるという。もともと横山秀雄の作品は私の好みに合うものばかり。今回は30ページ目の山をすんなりと越えた。だが、50ページになっても100ページになってもページをめくる速度は上がらなかった。表現力はあるのだが、私にはどうでもいいように思える展開が長すぎた。冗長。それほど面白いとは感じなかったがさすがに最後まで読ませる筆力はある。だが・・・◆これまたどうでもいいことなのだが私には一か所どうも引っかかる表現があった。上巻の最後の方で、おそらく45歳くらいの主婦が語るセリフ。自分の友人の旦那のことを「イケメン」と言っている。これに私はとても引っかかったのだ。「64(ロクヨン)」の舞台は平成14年。昭和64年(ロクヨン)に発生した誘拐事件が時効になる直前だ。この平成14年、つまり今から14年前。その平成14年に45歳の主婦が「イケメン」なんて言葉を使っていただろうか?その主婦は田舎町の元婦人警官だ。私にはこの主婦に似つかわしくない「イケメン」という言葉がさらっと出てきたところに「おっ、横山秀雄、めずらしい失敗!」と感じてしまった。◆いずれにしても多くの賞をもらっている割には退屈な、少し無理のあるストーリー展開の本でるように私は感じた。映画のヒットはないだろう。
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