2016年12月16日 ---- ボス

今年、初めて経験したこと

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人間も60年近くやっていると、大抵のことは経験済みになる。感動する機会が減り、感動の幅も小さくなる。涙は出やすくなるのだが、その涙の量は感動の大きさに比例するわけではない。今年を振り返ろうと手帳を手繰ってみたが感動的な「初体験」は見つからなかった。◆2月に母を亡くしたが、これは「初体験」と呼べるものではなかろう。喪主として様々な経験をするが感動を伴うものではなかった。◆今年は6回、海外に出たがいずれの国も初めて訪れるものではなかった。15年ぶりに行った中国、4年ぶりのスイス、この二国への出張は今年の経験の中では印象的ではあった。だが、どちらも初めてその国を訪れたときの感動にはかなわない。ただ前回のスイス出張では立ち寄らなかったチューリッヒに今回は3泊できた。魅力的な経験であり今後長く思い出になることだろう。◆何か特筆すべき今年あった「私の初体験」はないものかと探してみた。一つあった。先月の異業種交流会「マホロバの会」でのこと。私が幹事であった。今回の参加メンバーは私を含めて7人。すこし贅沢に南青山の高級フレンチの個室で開催した。アペタイザーが終わり、ワインを頼むことになった。どのワインにするかは幹事の私に任された。普段はメルローかカベルネソーヴィニオンを注文することが多いのだがなぜかその日はブルゴーニュのピノノワールを飲んでみたかった。ワインリストの中から廉価な(といってもかなり高級なのだが)ワインを選んだ。やがてソムリエがワインボトルを手に私の隣にやってきた。見事な手つきでコルク栓を抜くとそのコルクを私の前に置き、グラスにほんの少し注いだ。私はコルクの香りを確かめた。「変な香り!」と思ったが「これが高級ピノノワールの香りなのだろうか」とも思っていた。一口飲んだ。やはり旨くない。勇気を出してソムリエに尋ねた。「ごめんなさい、僕よくわからないんだけどピノノワールってこんな味なの?ひょっとしてブショねってるってわけじゃない?」と。ソムリエは「少々お待ちください」と言って、そのボトルを持って個室から出て行った。数分後彼は戻ってきた。「大変失礼いたしました。別のボトルをご用意しました」と言いながら新しいボトルの栓を開けた。同じ銘柄だが、今度のは旨かった。◆ワインの試飲でダメ出しをしたのが、今年あった数少ない初体験であった。

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