2017年01月17日 ---- ボス

負けず嫌い

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10年くらい前の話。その時、私は社会人としての師匠であり恩人である川嶋信義さん(故人=元前田建設工業副社長)と二人、クルマで宮崎の国道10号線を走っていた。なんの話題からそんなことになったのか覚えてないがちょうど信号停止しているときに助手席の川嶋さんが言った。「なんで負けても悔しがらないんだろうなあ?」・・誰か情けない部下のことを言ったのだと思う。「男は負けず嫌いじゃないとダメだよな」と私に同意を求めてきた。私は車を発進させながら「ええ、そうでしょうね。負けず嫌いじゃないとね」と彼の言葉を軽く肯定し、さらに「オレ個人はそれほど負けず嫌いじゃないんですけど、それでも負けても全く平気そうなヤツ見てると『それでいいの?』なんて感じますね」と答えた。川嶋さんは軽く吹き出し明るい声で「ばーか、、オマエほど負けず嫌いのヤツはめったにいないよ」と言った。 こちらを向いた川嶋さんは笑顔だった。◆私は人様から「キノシタは負けず嫌いだ」と指摘されたのはこのときが初めてだった。正直、そのころまでは自分が負けず嫌いの性格だとは意識していなかった。いや、気付いてはいた。自分が負けず嫌いであるということは気付いていたがそれを隠そうとしていたのだ。◆子供の頃から負けず嫌いのヤツはいる。負けず嫌いのヤツらはだいたいデキが悪かった。負けると腹を立てる。みっともない。そんなみっともない負けず嫌いを多く見たので、私は負けず嫌いの性格を隠そうとしていた。負ければ腹が立つけれど、腹が立っていることを誰にも悟られないようにしてきた。だから「キノシタくんは負けず嫌いだね」と言われたことは、それまでなかった。だが川嶋さんは見抜いていた。「オマエほど負けず嫌いのヤツはめったにいないよ」・・川嶋さんに初めて褒められた気がした。◆今年の正月、箱根で過ごした。温泉の隣にサウナ室があった。中に入るとオジサンが6人入っていた。「この6人よりは先に出るわけにはいかないな」・・負けず嫌いの私は誰にも気付かれぬよう、そんなくだらぬ勝負を挑んでいた。「オレって負けず嫌いなんだな」・・くだらぬことを思い、川嶋さんの笑顔の指摘を思い出していた。

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