◎2017年01月27日 ---- ボス ◎
- トルとし君
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早くも一月が終わろうとしているが私はまだ毎日のように新年会に参加している。新年会のハシゴも何度かあった。中でも、大学や高校時代の仲間との新年会は全く緊張感もなく楽しい。先日、霞が関の居酒屋で大学時代の同窓新年会があった。私の向かいに I君、その隣にT君が座る。I君は某大手ゼネコンの部長、T君は中堅ゼネコンの専務、二人とも仕事の時は厳しい表情らしいが同窓会では40年前のまま。私の左隣、T君の向いの席に某公共会社の取締役になっている「としあき君」が座る。ここでは「としあき君」の名誉のため本名を書くことができない。◆「としあき君」のあだ名は「トルとし」。今は偉くなっているI君がとしあき君に話しかける。「トルとし、ところでオマエ・・・」 T君も続く「トルとしがあのとき・・・」 話が盛り上がってきたところで質問するのが私の役目。「あれ、なんで『としあき』が『トルとし』になったんだっけ? 最初のころは『とし』と呼んでたよな。」 としあき君が「ええっ!また、その話ですか?」と泣きそうな顔 ・・・・◆大学4年の前期試験最終日のこと。以前からI君、T君 それととしあき君は「学生時代に一度トルコに行きたいね」と話していた。トルコというのは今のソープランドのこと。試験が終わった解放感からI君とT君は「今日、行こうや」ということになった。「トシも誘わんとな」と言ってとしあき君の研究室や下宿に探しに行ったがとしあき君は見当たらなかった。携帯電話などない時代、九州大学土木工学科で級友を探すのは下宿・研究室・雀荘・パチンコ屋であった。結局、としあき君が見つからないのでI君とT君は二人でバスに乗って中州へ繰り出した。彼らにとって初めてのトルコであった。◆翌日、I君とT君は自慢気にとしあき君に話した。「トシ、お前を探したけど見つからんかったからオレたち二人でトルコに行ってきたぞ。すげえ良かった・・・」 それを聞いてとしあき君は激しく怒った。「三人で行くって言いよったやんか、なんでオレを誘わんで行くの?」 ・・・その、としあき君の怒りっぷりが面白く「トルコに行けなかったことを激しく起こったトシ」を略してその翌日から I君 T君はとしあき君を「トルとし」と呼ぶことになり、その呼び名が広まった。経緯を知らない同級生は「トルコが大好きなとしあき君」を略して「トルとし」だと今でも思っている。◆としあき君は私に対しては敬語で話す。「キノシタさん、オレだけトルコに行ってないんですよ。行ってないオレの呼び名がなんで『トルとし』なんですかねえ?」 優しいとしあき君は「トルとし」と呼ばれることをさほど嫌がってはいないようだ。
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