2017年05月15日 ---- ボス

ブラック企業より悲惨な中学校教師の勤務

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昨年、外資系の経営コンサルタント会社に就職した息子は、入社前にエグゼンプション(exemption)の説明を受けサインした。exemptionとは「対象外とか適用外」という意味だ。息子の場合は「日本の労働基準法の適用外ですよ。厳しいですよ。それを覚悟しておいてくださいね」ということの確認書だ。あれから1年経った。どうだろう、息子が会社を出るのはほとんど毎日23時を過ぎてからのようだ。午前2時、3時に帰ってくることもめずらしくない。大変そうだが彼はグチを言わない。それどころか「仕事はとってもきついけど、いろいろと勉強になるよ。みんなで取り組んで一緒に頑張るのって結構楽しいとこもあるよ」と前向きだ。「でもね、こんな状況で30年も40年も働くのは無理だね。オレは3年は頑張るけど、そのあとは分からないな」と言う。親としては、頼もしいような情けないような、複雑な気持ちである。だが彼には「辞める」という選択肢がある。◆昨年、電通に努める女性社員が自殺をした。過労が原因での自殺ということになっている。世を挙げて電通バッシングが始まった。「電通はブラック企業だ!」と非難する。私は電通が可愛そうに思う。「厳しい企業」ではあるが「人殺し企業」ではない。本来なら電通も新入社員とエグゼンプション契約をしたいところだろうが日本の企業はそれが許されない。息子の場合は外資系企業であったためにそのような契約が許される。これもおかしな話だ。◆前にも書いたが、「辞める」という選択肢がある場合には「ブラック」と決めつけるのはその会社がかわいそうだ。その会社が「ブラック」であれば優秀な社員は辞め、会社の業績が下がる。自然淘汰が生まれる。企業としては淘汰されないように、ブラックではないようにと努力する。それでいいのではないか。◆そこで私が問いたいのが中学校の教師である。彼らは教え子のことを思うと辞めたくても辞められない。子供のことを思えば部活動の顧問もやる。自分の担当クラスの授業や採点や家庭訪問や部活動・・・。まじめな、熱心な、子供思いの教師ほど自分の時間を犠牲にする。もちろんサービス残業ばかりである。そしてもしこの状態を自然淘汰に任せると我が国の教育者の水準はどんどんと落ちてしまう。いやもうすでに落ち始めている。電通を厳しく指導する前に中学校教師の負担を軽くすることこそ急がねばなるまい。

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