2017年05月25日 ---- ボス

実るほど頭(こうべ)を垂れる・・・

boss-5

P航空の営業マン、Tさんはよく私のところへ来てくれていた。Tさんはいろんな興味深い話を持ってきてくれた。そのTさん、人は良いけど営業マンとしては少しだらしないところもあり私は少し心配でもあった。ある日、TさんがNという男を連れてきた。P航空が新規事業を始めるにあたり「彼が適任だ」とTさんがどこからか引き抜いてきたのだと言う。「キノシタさん、私がNを鍛えますから可愛がってください」ニコニコしながらTさんはN君を私に紹介した。Tさんの期待通りNさんはすぐに素晴らしい業績を上げることになる。◆TさんがN君を初めて私のもとへ連れてきてから2年もたたない頃だった。その日もTさんは私のところにやってきて話をしていた。「キノシタさん、Nはすごいですよ。うちの会社の取締役になりました。私、あっという間に追い抜かれました」人の良いTさんは笑顔でNさんの出世話を語っていた。ちょうどそのときTさんの携帯電話がなった。「きっと、Nからですよ。ちょっとすみません。」と言いながらTさんは私の前で携帯電話に出た。「はーいTです。・・・うん? いまキノシタ社長のところにお邪魔してるの・・」のんびりとTさんがしゃべっていた。そこへ一喝。私にも聞こえるほどの大きな叱責声が聞こえてきた。私の前でTさんの態度が変わった。「はいっ!・・・はいっ! ・・わかりました。はいっ! 失礼します」・・・電話を切ったときのTさんの顔を今でも忘れない。顔面蒼白だが汗がだらだらと流れていた。TさんとN君の立場が逆転した瞬間だった。◆私はN君を理解できなかった。携帯電話を通しているのでN君には(私が耳を傾けているという)状況が分かっていなかったのかもしれないが、私の前で、いわば恩人であるTさんに恥をかかせるような言動をしたTさんを許すことはできなかった。私はP航空の社長Hさんとも親しかったのでやんわりとそのことを伝えた。私の話を聞いたH社長は「そうなんですよ。Nはドライなんですよ。ただNは確かに数字(売上)を上げていますからね・・。いやぁ、私もアタマ痛いですよ」と複雑な表情だった。私は徐々にP航空との距離を置くようになった。やがてH社長は解任され、数年後Tさんも辞めた。Nは最後まで残ったが結局解雇された。実力のあるN、彼がもう少し利口でTさんやH社長と一緒にP航空を盛り立てていれば状況は大きく違ったのだろうと思う。残念だ。 

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2024年12月20日 ボスの
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  • 午前虎の門病院屋上ヘリポート見学
  • 午後事業計画見直し
  • 夕方麻布十番某所で会食
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