◎2017年08月22日 ---- ボス ◎
- 人の良い面を見る
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私に社会人としての基礎を教えてくれ、私の仕事に対する姿勢に最も影響を与えてくれたのが川嶋信義さん(元前田建設工業副社長)だ。彼と出会っていなかったら今の私はない。最も尊敬する方だ。残念ながら4年前に亡くなった。なにも恩返しできなかったことが辛い。◆その川嶋さん、まず人のことを誉めることがなかった。私と飲んでいてAさんの話題になる。どんな人なのかと私が問うと「Aっていうのは本当にいい加減なヤツでな・・」と始まる。「Bはダメだな、あいつは〇〇にゴマすって昇級したけど・・」とか「Cは調子がいいだけだ」などと人の悪いことしか言わない。おそらく私も「キノシタっていう、とっぽいヤツがいるんだけど・・・」などと言って人に紹介されていたのだろう。とにかく人のことを誉めることがなかった。ところが私がAさんに会うとそのAさんは「私はなぜか川嶋さんに目をかけていただいて・・・」 Bさんと話すと「私は川嶋さんに引っ張られて所長になったので・・・」 Cさんは「あの川嶋さんが『ちょっと教えてくれよ』って言ってわざわざ私のところに・・」 などと言う。 誰一人、川嶋さんのことを嫌っていない。いや嫌うところか皆、川嶋さんの大ファンなのだ。◆川嶋さんはいつも誰のことも誉めなかったし貶(けな)すことばかりだったが、そこには間違いなく愛情があった。「あいつはダメだ、こいつもダメだ」と言いながらも彼らを見放したり見限ったりすることはなかった。Aさんも、Bさんも、Cさんも、そして私(キノシタ)も、みんなダメ人間であり欠点も多いが、川嶋さんはみんなを貶しながらも応援してくれていた。◆私も「若いころからオマエは尖っていたな」「とっぽいヤツがいるな、と思ってたよ」そんなことを言われながらずっと応援してもらっていた。「オレは人を誉めて育てるってのが苦手でな・・・。もっとも誉められるような優秀な部下はいなかったなあ・・」・・川嶋さんの毒舌が聞こえてくるようだ。◆「口で誉める必要はないよ。だけどなキノシタ、人の良い面を探すことは忘れちゃダメだぞ。どんなヤツでもいい面や可愛いところがあるもんだ」・・・そういうことを教えてくれた。今でもときどき無性に川嶋さんに会いたくなる。
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