2017年09月22日の記事一覧

2017年09月22日 ---- ボス

古き良き時代

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大学3年生の時に留年した。1年遅れで4年生になったがそれでも卒業に必要な単位はまだまだたくさん残っていた。中でも「測量Ⅱ」という必修科目は難しかった。私は試験で不合格となり、続く再試験、再々試でも合格できなかった。「再留年が決定か」と落ち込んでいたところ「最後のチャンス」が巡ってきた。私は「工学部土木工学科」であったがなんと「農学部農業土木学科」で「測量Ⅱ」の再試験があるという。それを受けて良い、と許可が出た。これで落ちれば本当に再留年が決定する。私は徹夜で猛勉強した。◆試験当日、私は心細かった。広い教室には10人程度の学生しかいない。工学部の学生は私一人。周りは知らないヤツばかり。カンペが回ってくる可能性はない。だが私には猛勉強からくる自信も少々あった。そこに試験担当教官が問題を持って入ってきた。「あっ、マキズミさんだ!」・・教官は私が兄貴のように慕っていた、当時工学部の助手であった牧角さんだったのだ。とはいえ農学部の教室での試験、私の卒業がかかった試験、馴れ馴れしくすることはできない。◆試験が始まった。問題は六問あった。すぐに「四問は解けそうだ」と思った。四問正解なら合格できる。私は解き始めた。三問は完璧だった。もう一問も「多分これで大丈夫だろう」と思いながらも少し引っかかるところがあった。◆牧角さんは学生の回答を一人ずつその横に立って黙って眺めていた。私の横に来た。随分と熱心に私の回答を眺めていた。そして私の回答の一部を指さしながら小さな声で「分母分子が逆」と教えてくれた。それはちょうど私が自信持てないところであった。牧角先生のアドバイスで私は消しゴムでゴシゴシやり、急いで書き換えた。「うん、これで四問は解けた」と安心していた。終了時刻が迫っていた。教室前のほうで農学部の学生の答案を見ていた牧角さんが慌てた様子で私の方に速足でやってきた。「キノシタ、悪い! さっきんで良かった。おうちょった。分母分子はあれで良かった」・・・私はまた大慌てで書き換えた。私が書き換え終わるのを待って牧角先生は「はいっ、時間です」と言って各人の鉛筆を置かせた。もちろん私は合格した。◆古き良き時代のエピソード。あれから36年経った。今日、福岡で「牧角龍憲先生退官記念講演会と記念パーティー」が開かれる。もちろん私も参加する。牧角先生、お疲れさまでした。ありがとうございました。◆良い友、良い先輩、良い先生に恵まれた私の人生を確認する機会でもある。

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