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2021年05月17日 ---- ボス

佐伯鶴城の校長

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「豊後の三筆」と言われた書の達人、狩生熊義先生が、私が佐伯鶴城高校に入学したときの校長だった。当時、鶴城では毎週月曜日、グラウンドで全学年参加の朝礼が行われており、校長の訓辞を聞き、朝礼の最後には全員で校歌を斉唱していた。皆、鶴城の校歌が大好きだった。狩生校長の話は高校1年生の私には少し難しいものだった。◆2年生になると狩生校長は退官され新しい校長がやってきた。新校長は最初の朝礼で「みなさーん、おはようございます。元気ですかー?・・おやっ、返事が聞こえないよ」と言い、再度「元気ですかー」と問いかけた。生徒たちは笑顔で「元気でーす」と答えた。新校長は一発で生徒たちの心を掴んだ、ように見えた。◆その日、朝礼後、最初の授業が私の尊敬する大好きな先生であるカッパ先生の化学であった。カッパ先生は本当は河野(かわの)先生なのだが歴代の生徒はみな「カッパ先生」と呼んでいた。頭頂部に髪がなかったためついたあだ名のようだった。鶴城の歴史に残る名物教師であり生徒全員から慕われていた。そのカッパ先生が教室に入ってくるなりいきなり怒った。「今度来た校長、あれはバカなんじゃないんか?なにが『みなさん元気ですかー?』だ!」と言い出した。私を指さし「のお、キノシタ。なんでお前は『おれたちは小学生じゃねえよ』と言い返さんかったんか?!」と言うのだ。そして「高校の、それも『県南の雄』と謡われる鶴城の校長はお前たちに天下国家を語らんでどうすんのか?狩生校長はいつも天下国家を論じとったじゃねえか。高校の校長は生徒を尊重し生徒を高い場所へ誘っていくことが使命なんじゃ。」と延々20分以上も校長の姿勢に関する話が続いた◆私は新校長も嫌いではなかったが、カッパ先生のおっしゃることも理解できた。そして私は誰よりもカッパ先生が大好きだった。◆教師は私の目指す職業ではなかったが、将来、人前で訓辞を垂れることがあるならば私も狩生校長のように天下国家を語れる大人になりたい、と強く思った。

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