2015年01月21日の記事一覧
◎2015年01月21日 ---- ボス ◎
- 小便をこぼさない男
-
男女兼用のトイレが多い。今ではほとんどの家庭がそうであるし小さなオフィスやバーでも多い。飛行機の中のトイレも男女兼用だ。男が利用するときは便座を上げ用を足す。そのままにして出る男も多いが紳士である私は用が済むと便座も蓋も下ろしてその小さな部屋を出る。日本のトイレは諸外国に比べ圧倒的にキレイである。トイレはキレイであるが大抵の男は小便を便器回りにこぼしてしまう。気配りが足らない。そのために飛行機ではスッチー(今はCAという)が、バーではオネーサンがマメにトイレ掃除をしている。(国際線のトイレを清潔に保っているのは断然ANA、続いてJALだと私は確信している。エミレーツもシンガポールエアもかなわない。いわんやアメリカやフランスにおいてをや・・・。日本人は世界一の清潔好きであることは間違いない。)◆さて私は・・。私は少々酔っていても小便を便器の外にこぼすことはない。いえ、座って用を足しているわけではない。男らしく立って用は足すのだが慎重に慎重に行う。それでもたまに一二滴こぼしてしまったらペーパーで丁寧に拭き取る。スッチーやオネーサンはきっと喜んでくれていることだろう◆10年以上前のことだ。私は六本木一丁目にオフィスを開設した。東京タワーが見える新築のキレイなビルだった。社員は私を含め、まだ6名しかいなかった。トイレは男女兼用であった。社員はみなキレイにトイレを使ってくれていた◆そんなある夜、大学時代の親しい友人が新オフィス開設祝いにやってきてくれた。社員が退社したあとのオフィスで二人で飲んでいた。彼がトイレに立った。しばらくして私もトイレに入った。すると床に小便が10滴~20滴も垂れていた。私は腹が立った。トイレから出て彼に「もっとキレイに使えよ!」と文句を言った。彼は随分と酔っていた。素直に「ゴメン、悪かった」と返ってくると思っていたのだがそうではなかった。驚いた。「小便くらいでガタガタ言うな!男が小便すればこぼれるものなんや」と九州弁で開き直った。私の怒りは増した。「オマエみたいな公務員にはオレがどんな気持ちでこのオフィスを開いたのかなんて分からんのやろうがな、こっちは命がけなんぞ。ここは命を懸けて作ったオフィスなんぞ!トイレであろうがそんな言い分は許さん!」大声で責めた。すると彼の態度は一変した。謝り始めたのだ。酒のせいもあったのだろう。「ごめん、キノシタ。オレが悪かった。ごめん、俺を殴ってくれ!」と言い出した。「分かってくれたらいいよ」と言うのだが彼の方が収まらない。「ごめん、殴ってくれ!」を繰り返す。私も酔っていた。面倒くさくなって彼を殴った。右手の拳で彼の左頬を殴った。手加減はしたつもりだったがそれでもグーのパンチは効く。私より一回り大きい彼が大きくぐらついた。私も謝った◆男同士の友情って素晴らしい。彼とはその事件以来さらに深い友情で結ばれている◆私はあの事件のあとから、一層慎重に、「小便をこぼさない男」として生きている。
... 続きを読む
- コメント (0)