2016年12月20日の記事一覧
◎2016年12月20日 ---- ボス ◎
- 「優しい校長」役を演じるのは、そろそろおしまいか。
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私が学生だった頃、テレビで学園ドラマを観るのが楽しみだった。成績は今一つで世間知らず、少しヤンチャだが根は「純情な生徒たち」。彼らを引っ張る「アニキのような熱血教師」。それらを煙たがる「常識派の教師たち」。常識派の親分であり、生徒たちから「嫌われる教頭」。そして「どちらにも優しい校長」。構図は決まっていた。「ヤンチャな生徒」「熱血アニキ教師」「常識教師」「厳しいイジワル教頭」「みんなに優しい校長」がそれぞれの立場でいろんな問題にぶつかり解決していった。◆20年前に会社を設立し、当初の私は青春学園ドラマの中の「生徒」であり「熱血教師」でもありときに「常識教師」や「イジワル教頭」の役もこなした。それから20年の歳月が経ち、会社は大きくなった。数年前、やっと私は念願の「みんなに優しい校長」役を演じることができるようになった。社内に「常識教師」や「厳しい教頭」を演じてくれる者が出てきたから。いや正確には、彼らが「常識教師」や「厳しい教頭」役をしっかり演じてくれると信じたから私は「優しい校長」になった。◆「優しい校長」は生徒や教師(つまり社員みんな)に優しく振舞った。時に、増長した生徒に対し不快感を覚えることもなくはなかったが、そこは「常識教師」や「厳しい教頭」が注意してくれると信じていた。だが、どうも私の「優しい校長」役はそろそろ終わりにしなければならないようだ。◆数年前より、我が社では全額会社持ちで(つまり積み立てなどの個人負担なしで)豪華社員旅行を行っている。昨年はハワイ旅行。それまでも沖縄や北海道、グアムや台湾などに行った。社員全員の自宅に夏はお中元、暮れにはお歳暮が届く。安いものではない。社員同士の飲み会やゴルフ大会、ボーリング大会などのイベントにも会社からかなりの額の補助金を出してきた。「ブラック企業」とひと様から後ろ指を指されることなど決してないように注意してきたつもりだし、給与レベルも業界内では上位のほうだろう。私は「優しい校長」を演じ、みんなから好かれたかったのだ。◆「社員が自分の会社を好きになれば愛社精神が増し、一所懸命会社のために頑張ってくれ、それが好循環になる」と信じていた。異業種交流会で私がその話をするとある先輩のオーナー社長さんが「キノシタさん、気持ちは分らんでもないけど、果たしてテレビドラマみたいにキノシタさんの目論見どおりに事が運ぶでしょうか?私はそうは思えんよ」という。別の会社の社長さんからも「社員はね、最初は『ありがたい』と思うのですよ。でもねそれが2.3回続くとそれは特別なことではなくなるんですよ。『ありがたい』と感じなくなるんですよ。そしてさらに上を要求してくるようになりますよ」と注意された。◆年末になり、私はちょっと「優しい校長」役を辞めて「厳しい教頭」役になったつもりで社内を見てみようと思った。驚いた。気付けば、我が社には「厳しい教頭」も「常識派の教師」もいないようだ。「優しい校長」と「純情だがヤンチャな生徒」ばかりになっていた。実は私はいま、愕然としている。年が明けたらしばらくは完全に「優しい校長」役を辞め、「厳しい教頭」「常識ある教師」役を再び演じる必要があるようだ。◆「来年からしばらくは社員旅行やお中元、お歳暮もやめようか」・・そんなことを考えて、昨夜は眠れなかった。
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