2018年06月18日の記事一覧
◎2018年06月18日 ---- ボス ◎
- せこいヤツ
-
昭和の終わりから平成になった頃にかけて山本さんと家族ぐるみのお付き合いをしていた。大変お世話になった。私は山本さんに仕事に対する姿勢や考え方など多くを教わった。「キノシタさん、オトコでせこいヤツはダメですよ。せこいヤツは大きい仕事きちんとした仕事ができません。せこいヤツはズルをします」と常々山本さんは言っていた。「ケチはいいんですよ。せこいのがダメなんです」と言っていた。私は「ケチ」と「せこい」の違いがはっきりと分からないものの山本さんの言いたいことはなんとなく理解していた。◆私と出会う数年前まで山本さんはある方の「秘書兼運転手」のような仕事をしていた。ある方とは昭和史に名前を残す超有名人O氏。山本さんはその頃のことをよく話してくれた。「『お疲れさん。明日は7時半に迎えに来てくれ。じゃあな』と言われてO先生と別れるでしょ。大体10時半か11時頃ですよ。それでも僕は自宅へ直行しませんでしたよ」勿体ぶって話す山本さんに私は「どこへ行ってたんですか?」と尋ねる。「翌日のO先生の行動予定は分かっていますからそこを一度クルマで走ってみるのですよ。入り口や駐車場などをあらかじめ確認しておくんです。もちろんO先生は僕がそんな予習をしていることなど知りません。当然、残業代ももらえません。でもね、キノシタさんO先生が時々感心して誉めてくれるんですよ。『ヤマモト、キミはタクシーの運転手より道に詳しいなあ』って。」・・山本さんは嬉しそうに懐かしむ。まだカーナビなどない時代である。夜遅くに明日の自分の仕事の準備を毎日欠かさずやることは楽ではない。◆山本さんの気配りはO先生に対してだけではなかった。山本さんの回りには優しい人が多かった。バブル崩壊で消えていく紳士たちも多かったが「せこいオトコ」と言われる人は一人もいなかった。面白い、激しい時代に私はいろんなことを勉強した。◆私も「せこいオトコ」が嫌いだ。人から「せこい」と言われることのないように気を付けている。
... 続きを読む
- コメント (0)