2017年02月13日の記事一覧

2017年02月13日 ---- ボス

母の一周忌

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今日、二月十三日は母の命日。昨年の今日、早朝に母は眠るように息を引き取った。この週末、一周忌の法要がいとなまれ私は寒い寒い九州、大分へ帰ってきた。苦労ばかりだった母の人生を思い、改めて感謝の気持ちが強くなった。◆法要を済ませ、大分空港へ向かう途中に杵築市というのどかな城下町があるがある。そこに私の小学校1.2年生時の担任、I先生が住んでいる。久しぶりに訪ねてみた。89歳のおばあちゃんになられたI先生は穏やかに、笑顔と涙で私を迎えてくれた。◆私が小学校の2年生の冬休み、父母姉と私が乗ったタクシーが事故を起こし、気付くと父は助手席で血を流し死んでいた。母も顔に大けがを負った。私は生え変わったばかりの永久歯を失った。真っ先に駆けつけてくれたのがI先生だった。◆私は冬休み明けから祖父祖母の家へ移ることになり、転校することになるのだが、私が転校したあとも、ずっとずっとI先生は私のことを見守ってくれていた。顔に大けがを負い、後遺症に苦しむ母を優しく助けてくれた。私が高校を卒業するころまで、毎年1回はご主人と一緒に、車で2時間もかかる我が家まで来てくれていた。◆私は後になって知るのだが「もし大変ならばモトミちゃんは私たちが育てるから。もし大変ならば私たちがモトミちゃんを養子に迎えるから」と言ってくれていた。母はI先生夫妻に感謝しながらも私を手放すことはなかった。苦しみながらも頑張って私を育ててくれた。子供がいなかったI先生ご夫妻は遠くから私を見守り続けてくれた。もし、あの事故で父と一緒に母まで亡くなっていたら、私はきっとI先生の養子になっていたのだろう。◆忙しさにかこつけて私はここ10年近くI先生を訪問していなかった。母の葬儀の案内も出さなかったが、昨年末に喪中はがきを送ったところすぐに先生から連絡を受けたのだった。◆I先生は89歳になられても矍鑠(かくしゃく)としていた。「立派になったねえ。頑張ったねえ」・・私の訪問を本当に嬉しそうに喜んでくれ笑顔で話し始めたI先生、すぐに声が詰まり涙が落ちてきた。涙声で「モトミちゃんは子供の頃から成績が良く、走るのも早く、そして正義感が強かったもんねえ。それでいて小さなことには動じない立派な子やったねえ。人物やったねえ」と、べた褒め。少し恥ずかしかったがとても嬉しかった。私も涙で返事をすることができなかった。◆「また来ますね。先生もお元気でね」と言って別れた。

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